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新しい片頭痛治療薬 atogepantの効果は!?

Atogepantは片頭痛の日数を減らす効果がありそうです!

Safety, tolerability, and efficacy of orally administered atogepant for the prevention of episodic migraine in adults: a double-blind, randomised phase 2b/3 trial
Lancet Neurol 2020; 19: 727–37

【背景】
カルシトニン遺伝子関連ペプチドcalcitonin gene-related peptide (CGRP)が片頭痛の病態に関連することが明らかになり、CGRPあるいはCGRP受容体を標的にした片頭痛治療薬の開発が進んでいます。
本研究は経口薬のCGRP受容体拮抗薬であるatogepantを用いた反復性片頭痛の予防効果をみるために行われた第2b/3相の臨床試験です。片頭痛の治療には予防目的と急性期治療に分かれております。予防目的ではこれまでβ遮断薬、Ca拮抗薬、三環系抗うつ薬、一部の抗てんかん薬などが用いられてきました。

アラガンの製品のようですが、アラガンはアッヴィに買収されたために発売はアッヴィまたはアラガンジャパンでしょうか。

【概要】
対象は18-75歳の1か月に4~14日頭痛症状が生じる状態が1年以上続く方で、
① プラセボ 148人
② atogepant 10mg 1日1回 80人
③ atogepant 30mg 1日1回 149人
④ atogepant 60mg 1日1回 164人
⑤ atogepant 30mg 1日2回 70人
⑥ atogepant 60mg 1日2回 73人
の6群に2:1:2:2:1:1の比率になるようランダムに割り付けて12週間内服しています。

参加者の除外基準は
 月に15日以上の頭痛がある
 3種類以上の予防薬を用いても改善しない
 オピオイドやバルビツレート月3日以上用いている
 トリプタンやエルゴタミン製剤を月10日以上用いている
 NSAIDSやアセトアミノフェンを月15日以上用いている人です。
などでした。

主要評価項目は1か月に経験した頭痛の日数の変化(試験開始前との比較)です。
参加者の背景は平均年齢40歳、女性87%、白人76%、片頭痛の罹病期間約17年です。これまで予防薬を用いていた人は28%です。試験前の頭痛日数は全群約7.5日/月でした。(下記表が参加者、各群の参加者の背景です。)

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【結果】
内服中の1か月あたり頭痛日数は下記の通りでした。
① プラセボ -2.9日 (治療前と比べ月2.9日頭痛が減少)
② atogepant 10mg 1日1回 -4.0日 (治療前と比べ月4日頭痛が減少)
③ atogepant 30mg 1日1回 -3.8日
④ atogepant 60mg 1日1回 -3.6日
⑤ atogepant 30mg 1日2回 -4.2日
⑥ atogepant 60mg 1日2回 -4.1日
いずれのatogepant群でもplaceboと比較して有意差を認めました。

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 治療と関連のある有害事象は悪心、倦怠感、食欲低下などを認めたがプラセボと比較して有意に多いものは無かった。


 論文のまとめは、『どの容量のatogepantもプラセボと比較して1か月あたりの片頭痛の日数を有意に減らすことと関連があった』でした。


【個人的感想】
 上記結果をざっくばらんに表現するとatogepantを用いると1か月に7日あった片頭痛が3-4日ほど減るかもしれない。しかし、プラセボ薬と比べると1か月あたり1日の減少しか優位性がなかった、とも言えます。
 きっと製薬会社1か月に7日あった頭痛が1か月に3-4日になったこと50%減少!!すっごい頭痛ヘッタ!と表現するかもしれません。

 安全性に概ね問題がないようですので今後規模が大きい研究が出ると思います。片頭痛治療薬の選択肢が増えることは画期的ですので期待したいです。

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