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神すらおよばない領域/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(8)

この記事の「--」より下の部分は名寄新聞に寄稿して掲載待ちですが(2019年10月25日時点)、掲載前に読みたい方向けに有料記事として投稿します。名寄新聞掲載後に無料で公開予定です。 →2019年11月1日付名寄新聞に掲載されたので無料記事に変更しました。

名寄新聞での連載第8回です。持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方の紹介に一区切りがつき、前々回からは4つのルールを掘り下げて解説しています。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください

連載は基本的に隔週の予定でしたがこのところ不定期になっています。名寄新聞の購読案内はこちら

もしサポートいただけましたら今後の励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします(掲載紙から原稿料はいただいていません)。

また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(8)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

神すらおよばない領域

今回は持続可能な社会の4つのルールのうち「②自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない」について理解を深めたい。

「人間社会が作り出した物質」の例を挙げてみて欲しい。海洋プラスチック汚染やマイクロプラスチックが大きな社会課題となった今のご時世ならプラスチック(以下、プラと略)が真っ先に挙がるだろう。定番は農薬だろうか。

では、プラを例に、その濃度が増え続けるとなぜ持続可能ではないのか考えてみよう。プラはどこから来てどこへ行くのか。

プラの原材料は石油などの天然資源だが、人工的に合成して作られる。そのため自然には存在しない分子構造になっている。それはつまり、自然の営みでは分解されない、あるいは分解され難いということを意味する。ここが1つのポイントだ。

物質は消えることなく、散り散りになりながら循環する。生物圏の循環の中に分解されない物質が混ざり、その濃度が増え続けるとどうなるだろうか。

その答えの一つが海洋プラ汚染であり、マイクロプラによる人体汚染だろう。分解されない物質を次々と生物圏に放り出せば、たまり続けるのは必然だ。

そして、自然に存在する物質は、気の遠くなるような長い年月の循環の過程で生物の生存に適した濃度に落ち着き、安全性や毒性に対する本能的な理解も身についているが、人工的に合成して作られた異物が、どの程度の濃度や期間で何に対しどのように作用するかについてはだれも分からない。

ごく限られた条件下、実験環境下で問題ないというデータがあったとしても、地球の歴史の検証と比べれば浅はかで、時の洗礼を経ていないという点がもう1つのポイントだ。

また、たとえ単体では安全だとしても、いくつもの人工的な物質が同じ場所にたまった時に何が起きるのか、複合汚染の問題は神すらおよばない領域だろう。神が創造したものではないのだから。

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画像:下川町内のスーパーなどに置いてある「下川の貸し出しカバン」略して「シモカバ」は2009年からレジ袋削減に貢献し続けている(筆者撮影)

補足:「シモカバ」を発明した若シュフ会は第1回「北海道新聞エコ大賞」家族・サークルの部で大賞を受賞した


バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。