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地球の進化に寄りそうように/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(7)

名寄新聞での連載第7回です。持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方の紹介に一区切りがつき、前回からは4つのルールを掘り下げて解説しています。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください

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また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(7)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

地球の進化に寄りそうように

前回は「こうした持続可能ではない例から見えてくるのは、地球の進化に逆行している私たちの社会の姿だ」という締めくくりだった。

かつて地球の表面は、今よりはるかに二酸化炭素の濃度が高く、重金属や硫黄化合物、アンモニア、メタンなど、人類にとって有害な物質が混ざり合っていて、生存できるような環境ではなかった。

その後、細胞生命が誕生し、二酸化炭素は吸収・固定され、重金属などと共に海底深くに沈み、積み重なり、石油や鉱物となっていった。

億単位の年月を積み重ねて、ようやく人類にとって持続可能な環境が整ったのだ。にも関わらず、18世紀後半の産業革命から、わずか200年程度で一気に地球の進化に逆行し、生存環境を悪化させてしまった。

これは、持続可能な社会の4つのルールの「③自然が物理的な方法で劣化しない」にも共通して言える。植物たちが、太陽光をエネルギーに二酸化炭素などの無機物から有機物を作り出し、同時に酸素も供給してくれるおかげで、命の営みは守られ、循環し、持続可能になった。これが地球の進化だ。

植物たちだけではない。植物たちを起点とする命の循環の中で生物は多様性を広げ、その多様性自体が生物の持続可能性を守っている。もし生物の多様性が少なければ、環境の変化に対応できずにある生物の種が絶滅すると、その種を食べ物にしていた種が絶滅し、その連鎖ですべての生物が絶滅してしまう。

また、薬の多くがそうであるように、様々な生物から人間社会にとって有益な物質が新しく発見されてきた。まだまだ未発見のものもあるだろう。そうした価値も自然が劣化することで失われてしまう。

しかし、農地利用や工業化・都市化を目的とする大規模な破壊により自然は劣化し続け、今まさにアマゾン火災が国際問題となっている。

地球の進化の方向に寄りそうように人間社会を軌道修正する。そのためのゴールがSDGsなのだろう。

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画像:天塩川に戻ってくるサケは海の栄養を森へと運ぶ役割も担っている(著者撮影)


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