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植物は神か/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(5)

名寄新聞での連載第5回です!持続可能な社会の4つのルールの元になっている考え方編。前々回が地学、前回が物理学、今回の生物学でひとまず一区切りです。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください。

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また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(5)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(北海道下川町在住)

植物は神か

前回、散り散りになった物質は主に生物圏でずっと循環すると書いた。しかし、散り散りのまま循環するのではなく、循環しながら新たな形の一部になる。この再構成を支えているのが植物だ。

物質は、有機物と無機物とに区別されるが、多くの生物は、無機物から有機物をつくり出すことができず、食べ物から有機物を取り入れることで体を再構成している。こうした生物を「消費者」という。

一方、植物は光合成で無機物から有機物をつくり出すことができ、この有機物が他の生物の栄養となっている。このことから植物は「生産者」に区分けされる。

植物を始めとする生産者がいなければ、有機物は菌類などの分解者により無機物へと散り散りにされたままとなり、地球は無機物砂漠になるのではないか。実際、世界の砂漠化は進み、海の砂漠化も指摘されている。

これだけでも植物の重要性がわかるが、おまけに酸素まで生み出してくれて、さらに、有機物と酸素を生産するエネルギー源として地球外から絶えず降り注ぐ太陽の光を利用できる点でも特別な存在だ。

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図:生産者・消費者・分解者と有機物・無機物の関係

植物は神なのか。少し話がそれるが、植物がコミュニケーションを行い、学習することもできるという研究成果が増えつつあり、特に木々には知能や記憶、さらには感情があるのではないかと考える科学者が増えているという。

これほど高度な能力を持っているにも関わらず、植物はあまりにも当たり前に存在するため、そのかけがえのなさを見失いがちだ。

歴史を振り返ると「森が破壊される時、文明も滅びる」と言われている。同じ過ちを繰り返さないためにも、植物と私たちの社会との関わり方を今一度見つめ直すきっかけにSDGsがなればと願う。

バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。