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日本の小規模自治体は、スウェーデンのコミューン制を参考に、二元代表制から議院内閣制への移行を(そのための市町村合併も含めて)検討してはどうか……憲法改正が必要だけど/議員の成り手不足解消への試論その1

2023年の統一地方選が終わりましたね。わが町・下川町では町長・町議選ともに無投票。町議に至っては定員8人に満たず欠員で7人となりました。

同じ北海道の浦幌町では、20代から30代前半の女性町議が3人も一気に誕生し、さらに20代の男性町議も再選とのことで(町長も48歳と比較的若め)、新時代の兆しも散見されますが、全国的には地方自治の現場で議員の成り手不足が深刻化しています。

その解消が必要だと対策に挙がるのは、議員報酬や定数の変更、議会の活性化、つまり現行制度に多少の変更を加える現状からのフォアキャスティング策が多く、単調・低調な気がしているのは私だけでしょうか。

この先どういう自治を目指すのか、次の世代が引き継ぎたいと思える社会像、長期的なビジョンを描き、そのゴールから現状を振り返って分析するバックキャスティングが必要だと感じています。

フォアキャスティング? バックキャスティング? 「ちょっと何言ってるか分からない」という方は、こちらの小論をご参照ください。

新しい価値を創造する地域/環境未来都市・下川エッセンシャルズ/『地域再生のビジネスデザイン』(共著、地域ケイパビリティ研究会、2013年)

ここで試みようとしている論は、バックキャスティングの域までは達していないかもしれませんが、地方自治に対して別な視点から一石を投じることにより、いい意味での波紋が広がればと思っています。

ちなみに筆者は、下川町議会議員を2011年から2期8年務めました。2019年に任期満了し「現行制度の下で」町議選に出馬することは二度とないと宣言しています。それはなぜか。現行制度が変われば再出馬はあるのか。

結論から言うと、日本の小規模自治体は、スウェーデンのコミューン制を参考に、二元代表制から議院内閣制への移行を(そのための市町村合併も含めて)検討してはどうか、と考えています。

つまり、下川町と周辺の市町村で合併し、新たに誕生した自治体で議員選挙を行い、選ばれた議員の中から互選で市長を決めるという制度です。もしそういう制度へ移行したら新自治体の議員候補として再出馬を検討するかもしれません。

このアイデアの元になったのは、2015年に日欧都市交流会議(国土交通省)のメンバーに下川町が選ばれ、私は議会代表として参加し、ヨーロッパで最も環境に優しい都市と言われるスウェーデンのベクショー市と交流した経験です。

環境重視の政策を実行する時に住民・議会の反対・抵抗はなかったのか質問したところ、ベクショーでは議員の中から環境重視型の市長が選ばれ、その時点で多数派が決着しているため、後は政治判断に基づき行政職員が実務を着々と進めていけばいい、というような回答でした。

当時、ベクショーでは人口8万人に対し議員が30人という記憶で、下川町(当時3,500人ほど)周辺で広域合併すればそのぐらいになるかもしれないけど、合併論議はしばらくなさそうだし、さらに二元代表制から議員内閣制への変更となると……というわけで、さすがスウェーデンは合理的だなと思った程度。真剣に検討する余地はありませんでした。

しかし、日本の少子化・人口減に歯止めがかからず、地方議員の成り手不足も深刻化している今、この国の自治の在り方を根本から問い直すことから逃げていていいのか、いや「逃げちゃダメだ」と自問自答する時、いつも頭の片隅にあったのはベクショーのことでした。

「やれやれだぜ」……意を決していざ進まん! と一歩目を踏み出した途端に立ちはだかるは……そう、憲法です。

第8章 地方自治
第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

日本国憲法

特に第93条の2。地方公共団体の長と議会議員を住民が直接選挙するって書いてある……この壁は分厚く高い。巨人化しないと無理じゃないか……。

ただ、改正も視野に入れた憲法の議論の中では「二元代表制以外の議院内閣制、シティ・マネージャー(市支配人)制等の導入を可能とする規定を憲法に置くべき」という論点も出ていて、憲法改正もかつてよりはずっと身近なテーマになってきたので、全く現実味のない話しかと言うとそうとも限らないと言えなくなくもないような……どっちやねん。

議員の成り手不足解消への試論という航海はいきなり座礁しかけてますが、二元代表制のどこに限界を感じてこんな試論を始めたのか、次回はそのあたりを書いてみようかと思っています。

議員時代、あるいはもっと遡って、「地方自治は民主主義の学校である」という言葉を間に受けて1999年に下川町に移住して以来の回顧録を織り交ぜながらになるかも。知らんけど。

いずれにせよ風まかせなので、続きが気になる方は「スキ」をポチッとして追い風ください。

追記:その2を書きました。


バーカウンターで「あちらのお客様からです」ってあこがれます。