持続不可能な具体例/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(6)

名寄新聞での連載第6回です。持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方の紹介に一区切りがつき、今回からは4つのルールを一つずつ掘り下げて解説していきます。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください

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また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(6)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

持続不可能な具体例

3回に渡り持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方を紹介してきた。

地学の視点から生物が暮らす区域「生物圏」と地球の殻「地殻」について。

物理学の視点から「物質やエネルギーは、消失することも、作り出すこともできない」という法則と「物質やエネルギーは拡散する傾向がある」という法則について。

生物学の視点から「生産者・消費者・分解者」と「有機物・無機物」の関係、植物の重要性について。

そして、すべてに共通するキーワードとして「循環」があった。

これらを踏まえ、持続可能な社会の4つのルールを確認していこう。

まず一つ目「自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない」については、持続可能ではない具体例が思い浮かぶだろう。

もはや温暖化という言葉が生ぬるく感じる夏の暑さ。その主な原因は、地殻から掘り出した化石燃料を燃やすことで発生した二酸化炭素、この濃度が私たちの暮らす生物圏の中で増え続けていることだ。

他にもある。温暖化を始めとする気候変動が大きな問題になる以前、日本の環境問題と言えば、公害問題だった。

地殻から掘り出した銅、水銀、亜鉛、カドミウム、鉛といった重金属は毒性が強く、それらの濃度が排水などを通じて生物圏の中で増えることで公害病を引き起こした。

その反省から様々な規制が作られ、例えば日本の旧鉱山から今なお出続けている汚水は適切な処理が行われているが、規制が整っていない国では同じ過ちを繰り返している。

こうした持続可能ではない例から見えてくるのは、地球の進化に逆行している私たちの社会の姿だ。

推せん図書:寄藤文平(2017)『元素生活 完全版』化学同人、物質の元、元素がコミカルな人の姿に変身してパラパラ眺めているだけでも楽しい本



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