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ルールは変えていくもの/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(10)最終回

名寄新聞での連載第10回です。内容的にも回数的にも時期的にも区切りがいいので今回でひとまず最終回にしました。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください

もしサポートいただけましたら今後の励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください

ちなみにタイトル画像は私の作った『SDGsフォレスト』というボードゲームです。研修の中にボードゲームを取り入れることもできます。

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(10)最終回

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

ルールは変えていくもの

前回の「環境か経済か vs. 環境も経済も」に対し「今はまさに後者の時代」というご意見を複数いただいた。ちなみに「環境も経済も」を両立している企業といえば?

イケアと答えた方はいるだろうか。世界最大の家具量販店。積極的に環境問題に取り組む企業として知られ、SDGsの目標年である2030年までに、再生可能な素材かリサイクル材を全ての商品に採用する目標を掲げている。「環境も経済も」の代表格だ。

では、1992年に持続可能な社会の4つのルールを公開した環境NGOナチュラル・ステップの最初の顧客は?そう、イケアだ。どちらもスウェーデンから生まれた。

さて、連載10回目、内容的にも一区切りとなるので、今回でひとまず終了としたい。この連載では、SDGsというゴールを目指すにはルールを知っていた方が面白くなる、ということでナチュラル・ステップの提唱する持続可能な社会の4つルールについて掘り下げてきた。もう暗唱できるだろうか。

①自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない

②自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない

③自然が物理的な方法で劣化しない

④人々が自らの基本的なニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない

公開されて四半世紀が経過した今、読者のみなさんはどう感じただろうか。

私は特に②の「人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない」と関連して、急速なテクノロジーの発達に不安を感じる一方で、AIの進化によって4つのルールをすべてクリアしてしまう手法が体系化されるのではないかと現実逃避的な期待も抱いている。

大切なのは、ルールというものは不変ではなく、人々の意識や社会の変化、テクノロジーの発達によって変わっていく、いや、変えていくものということだ。

SDRs(Sustainable Development Rules)研究所では、ナチュラル・ステップの4つのルールを元に、下川での仮説と検証を織り込みながら、変化の激しい時代の羅針盤になるようなルールを提案していきたい。今のところ私一人の研究所なので、一緒に研究したい方はぜひご連絡を。ここまでのご愛読ありがとうございます。

推せん図書:落合陽一(2019)『2030年の世界地図帳』SBクリエイティブ

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