#36 おじさんの話の聞き方

木曜日の朝、出張先へ向かう新幹線の中で日記を書いている。今回の目的地は人生初の東北、宮城県仙台市である。

ぶっちゃけ出張の仕事はおまけみたいなもので、主目的は大人の遊びだ。1泊2日の仙台出張ということで、今日の夜は社内外のおじさんたちと懇親会という名の飲み会がある。

僕はとにかく仙台の牛タンが食えればそれでよし、といった感じだ。言うまでもなく、勤め人のおじさんの話には特に興味はない。

とか言っておきながら、僕は勤め人の仕事中も、気になるおじさんの話には耳を傾けていることが多い。例えば部長とか。

基本的には20〜30年もの間勤め人として働き続けているので、僕の人生のロールモデルにはなり得ない。ただ、ひとつの部署で数百人くらいの規模になるうちの部の「部長」というクラスまで出世している事実を見ると、必ず普通の人にはない何かを持っているはずだ。

ちなみに今のうちの部長の趣味は株式投資である。そして理不尽な要求や無駄な議論を長引かせることは一切せず、何かとカネにはうるさい。
その一方で、元来は設備屋さんということもあり、カネをかけるべき所にはしっかりとカネをかけて、生産ラインの稼働率を高く保っている。これは並の人間にできることではないなと素直に感じてしまう。この人はマジですごいおじさんだ。

これまでの部長は涼しい部屋で椅子に座って威張り散らしているだけだったのに対して、今の部長は自分でクソ暑い現場にもすぐに足を運び、自分の目でものを見て判断を下す。そういった点では現場からも一目置かれている存在だ。

話が逸れてしまったが、僕はそんな「すごいおじさん」の話は真剣に聞いて、できるだけ何かを盗めないか、と探りを入れるようにしている。すごい人のすごい部分は素直にパクって取り入れた方がいい。まあ、パクれればの話なんだが。

そんなわけで今日も僕は初対面のおじさんたちから何か「すごい部分」を盗めるよう、酒量はほどほどにして、ふんふんと話を聞いてこようと思う。まあ、こんなふうに半分遊びの出張ばかりしているおじさんたちなので、そこまで良い話が聞けるとは期待していないが。僕はそんなふうに斜に構えている生意気な若者だ。我ながら本当に自分は生意気だなと思う。

僕は勤め人をしながら副業で不動産賃貸業を営んでおり、将来的には必ず独立すると心に誓っている。ただ、心に誓うのは良いが、独立するまでは(あと5年なのか10年なのか分からないが)勤め人を続けていかねばならない。

そんな中で、人生の先輩であるおじさんたちの話というのは非常に価値のある情報源だ。それが勤め人であれ、独立自営の不動産屋さんであれ、それぞれに良い部分と悪い部分がある。僕はそれの良いとこ取りができればいいなと。ひとりの男が何十年と自分の選んだ道を生きてきた話には重みがある。
(まあ、その話も8割くらいはしょうもない自慢話だったりするんだが)

すごいおじさんとそうでないおじさん。価値のある話としょうもない話。その他諸々も含めて色々あるけど、僕みたいな若者はおじさんの話を素直に聞いておくといいよ。多種多様なおじさんたちの話を聞いた上で、そこから先は自分自身が信じた道を選んで進めばいい。

最後は必ず自分で決める。
これが僕の「おじさんの話の聞き方」だ。

以上

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