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自選30首(相聞ver.)

今までに作ったすべての歌のなかから、相聞歌やそれに近いと思うものを30首選んでみました。

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三又は黄から緑になりました君に告げたいことがあります

思い込むちからはなくて、この夏の誰かの恋の終わり知りたい

ばいざえぃばいざえぃとか言い合ってふざけていればまた見た季節

食パンに表と裏があるというきみの新説ちょうどよい朝

ンジャメナと咄嗟に継なぐ君とまだ続けていたい生活がある

信頼を裏切ることを夢想して、結局いつもの加減で抱いた

弱っちぃ俺を晒した白桃の剥かれやすさを云うなときみに

いち早く見つけたきみの名で呼ぼう佳作みたいな虹ではあるが

あの人は玄関のない家でした僕は庭木の一本でした

肉体の防水性能うらめしい濡らしてしまいたいことばかり

待つうちに夜中になってしまいました時刻ではなく夜そのものに

マフラーに埋もれていると思ったら どうやらそれは孤島、さみしい

エロいことしようおけらや人工知能(AI)に負けないくらいとびきりのやつ

ほっとけば勝手に閉まるドアでしょう忘れませんか互いのことは

「君のこと、短歌のなかで一度だけ草原にしたんだ」「怒ってる?」

台風が夏と消えたね  手を見せて、「手」という題で歌を詠むんだ

霧雨で満たされていて君だけがけやき通りを印象づける

わかる?ほら、少しかわいく見えるのが十二号棟わたしのところ

治らない捻挫のようだふと君を想ってしまう体勢がある

僕ひとり住むのにちょうどよい星にむりやり割り込んできたあなた

鞄から出したボトルのかたいふた心配性のあなたが閉めた

木の下で遅れて降る雨わたしにも直(じき)に沁み込む昨夜のけんか

きらきらはひし形だよという君と時間をかけて図形をさがす

はつなつのリポビタンD飲みながらなんちゃらブランは主食とわらう

君という家に煙突取り付けるメンテナンスは僕がするから

ずれている君の意見を聴きたくて相談をしている節がある

「恋人」も「友達」もきっと違うから〈名称未設定1〉のまま

ハンカチの蝶がひらりと留まるからあなたは花として枯れてゆく

骨までも肌のうえから愛撫して、火葬場のきみ想像しておく

街で見るあの人と似た外套のその柄の名を私は知らない

「蝉時雨」みたいな言葉を発明するまで続けるよ。