飲んで、物を書くということ(ダメだ、こりゃ)

基本的には素面(しらふ)で物を書いた方がいいと思う。確か、役所勤めから転身して小説家になった人も(新田さんだったかな?)家族との食事以降は19時30分に「いざ、勝負!」と言って自室の書斎に籠もったというし、司馬遼太郎が新聞社の人から聞いた話だと「新聞社に勤めていて晩酌の習慣があった人で小説家になった人はいないね」とあるとおり、皆ストイックに物を書いたのである。自分はまだそのレベルに達していない。
妻夫木聡が大河ドラマで演じたことで有名になった直江兼続に係る、司馬遼太郎の『関ヶ原』では、家康に対して兼続が(上杉家を代表しての)挑戦状の手紙を書くシーンがある。手元に本がないので正確ではないかも知れないが、兼続が(確か)ご飯か酒を飲んだ後風呂に入って手伝いの者に体を拭かせた後、さっぱりした後に家康へ長文の手紙を書く。「怒りが筆にこもった」とは司馬氏の脚色かも知れないが、直江兼続から家康に向けた手紙はオフィシャルになっており、事実この手紙を受けた家康が上杉氏討伐の軍を動かした所、兼続と通じていた石田三成が挙兵して、家康がUターンして関ヶ原の戦いに続く。ここまでは恐らく史実であろう。
ただ側で見ていた訳ではないので、兼続が素面で手紙を書いていたかどうかははっきりとは分からない。
個人的には、なるべくなら、文章を書くならば素面の状態で朝とか頭がスッキリした状態で書いた方がいいと思いながらも、夜に逆のことをしている。
風呂上がりに文章を書くのはいいのだが、素面であればなおよい。と思う。

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