「新NISA、狙われる投資枠復活 乗り換え勧誘には要注意」(日経新聞8月13日HP)

同HPによれば、「株や投資信託を売却すると非課税の投資枠が復活する」ことについて「2024年に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)が販売手数料目当ての短期乗り換え(回転売買)勧誘に悪用される懸念が浮上している」とある。新NISA、狙われる投資枠復活 乗り換え勧誘には要注意 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
挙げられているのは次の3点のポイントである。
・新NISAに手数料目当ての売買を誘発する懸念
・非課税枠の復活が無用な乗り換え勧誘招く恐れ
・投資促進策が悪用されぬよう金融庁は監視を強化

 後述の「三菱UFJ銀行HP」においても「非課税期間を延長できない」ため、「課税口座に移すか、一度売却して現金化したのちに新NISAで新たに運用する必要がある」問題点が指摘されている。
 一言すると、非課税期間を延長するために元本を売却して現金化するなどの、手数料目当ての売買や勧誘が横行するのではないかという危惧がある。 
 日経新聞の提示としては、「金融庁の監視強化」であった。

 Nisaの利点は、Nisaに支払った金額を確定申告時に税額控除できる点である。たとえば、税金対象となる収入が500万円の場合、NISAに年間100万円を投じていると、課税の対象額が400万円となる(少し単純な例だが)。最近人気な「ふるさと納税」もふるさと納税に支払った額が課税対象額から控除されて、しかも地域の特産品が貰える。特に高所得層で人気であるように思われる。
 猫も杓子もNisaを始めている。国が奨励するのは国がそれなりに「おいしい事業」からかもしれない。加入者が増えるということは、分母が増えてその分資金が増えることである。ただし、NISAの資金を元に株式や投資信託を運用するために、株式市場や経済全体のパフォーマンスの下落により、「原資が元本割れ」するリスクがある。
「量の増加は質の低下につながる」危険性がある。
 場合によっては、NISAに毎回支出することで可処分所得(所得に占める消費割合)が少なくなり、カード支払いが増えたり場合によってはカード支払いのためにリボ払に走るなどの本末転倒な消費者行動が起きる可能性がある。
 市場の影響を受ける「NISAの元本割れ」の危険性については、金融機関の提示するバラ色な将来予測シミュレーションに比べて明らかにされているようには思われない。しかも、プロでさえも判断を誤る市場に、経済学を学んだこともない素人が参入するのは極めて危険なようにも思われる。

参考:
三菱UFJ銀行HP(新しいNISAとは?2024年からどう変わるのか現行制度との違いを解説! | 三菱UFJ銀行 (mufg.jp)
「新NISAでは、保有している商品を売却した場合、その非課税投資枠を再利用することができるようになります。たとえば、つみたて投資枠で500万円投資した場合、残りの非課税保有限度額は1,300万円です。その内元本100万円を売却すると、翌年には売却した分の非課税投資枠が復活するため、残りの非課税保有限度額が1,400万円へと増加します。」
 非課税枠を増やすために、元本を売却することが可能となる訳である。
 同HPは、注意点として次の提示をしている。
「現行の一般NISAでは、非課税期間の5年が経過すると翌年の非課税投資枠を利用して、非課税期間を延長(ロールオーバー)することができました。
しかし2024年以降は、現行NISAでの保有分と新NISAでの保有分が完全に別管理されるため、ロールオーバーができなくなる見込みです。
そのため、非課税期間満了後も運用を継続したい場合は、課税口座に移すか、一度売却して現金化したのち、新NISA制度で新たに投資する必要があります。」

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