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南天を裂く者

双子宮から放たれる天を裂く無数の光。
彼は怒りと慈しみを含んだ眼で私を見やり、天に手を添える。

凍てつく夜に彼は何を破断する——
富、名誉、権威。
そんなもの、既に私の手元にない。
愛は当の昔に凍結した。
彼の望みは一つだけ。
ただ、私との契りを引き裂くだけだ。

年に数回、静寂な夜に私を狂わす天体の戯れがある。
そう、同じものを見て、互いを憂い、存在を思い出す日。
愛した記憶も薄れ、次第に彼は私に刃を向けるようになった。
「僕は殺されて当然だ。君には酷い仕打をした」
昔、彼は涙ぐました声で電話越しに伝えてきたというのに、今となっては私がこの台詞セリフを言う立場になっている。

あぁ、なぜ時は残虐な方向に向かわすのだろう?
解決と言う名の死刑宣告。
誰にも赦しを乞えず、一人で罪を呑み込む。
私はモミの木の下で、折れた枝葉えだはを抱き締め、永久とわの幸せを願おう。

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