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社員の賞味期限~歳だけ重ね人材

日経ビジネスの2018 年2月19日号の特集は、「社員の賞味期限」でした。企業が新しい事業などを始める場合は、外部人材を活用する方が成功するとかという話です。内部の人材では、変革は難しいとも言っています。

まあ、冷静に考えると論理的ではあります。ある企業に長年勤めていて、そこのやり方を熟知すればするほど、ルーティンをこなせばよくなり、ストレスは少なくなります。変革は、業績がいい時やる方が、会社にとってリスクが低くくなりタイミング的にはいいのですが、内部の社員は危機感はないので、ストレスフルな変革をやるモチベーションが沸きにくいのが現状でしょう。

一方、外部の人材は、普通、変革のために、その会社の人材にはない経験をしていたり、能力をもつ人材として採用されます。そして、変革のために、その人材は、その経験や能力を発揮するわけですが、それが、その人にとって、もっともストレスがない普通の働き方なので、そうする大きなモチベーションがあることになります。

つまり、イノベーションを起こしたりするような変革は、残念ながら、長年いる内部の人材からは起こりにくく、外部の人材が、今までやってきたやり方を持ってくることが、その企業にとって新しい事になり、変革を起こしやすいということです。

もしそうであるならば、企業が常にイノベーションを起こし変革していくためには、どのような仕組みが必要であるかと考えますと二つあると思います。

一つは、企業の中で社員にいろいろな経験をさせて、同じタイプや同じ仕事だけ経験する社員ばかりつくらないということです。社内社員流動化の促進ですね。大企業であればある程、子会社等での経験ができるので有利であると思います。

会社がそれほど大きくない場合は、積極的な外部人材の登用ですね。同時に自社の社員も他社ではイノベーターになる可能性も高いので、欧米のように社会的に人材の流動化が進むといいと思います。今回の特集は、ここをハイライトしていました。IBMもハードの会社からソリューションの会社への変貌しましたが、内部の社員はそっくり入れ替わったそうです。

会社によっては、子会社や孫会社のトップは、本社の幹部レースを外れたり、引退した人へのポストであるところも多いかと思いますが、ここは、次期幹部をつくるための貴重な体験のポジションでもあるので、うまくリーダー育成のプログラムに組み込むことが必要だと思います。

また、自社にはない技術や知見は、積極的に外部からもってきて、その下に若手を付けて、そのノウハウを伝授してもらうという事も大切だと思います。私が新人の時の部門では外部からの先輩が多く、いろいろと貴重な指導をしてもらいました。最近は、労働の流動性が高まり、転職が当たりまえになってきたので、いい流れになってきたかなと思います。

まだ不十分なところは、会社に長年、ルーティンをやっている人やシニアで元気がない人たちです。

この記事で言うと「歳だけ重ね人材」ですね。

この人達は、もしかしたら他社ではイノベーターになれるかもしれないのです。本人も自分のやっているルーティンが他社では新しい事だと認識していないので、転職してみようかというモチベーションもないわけですね。ある意味「Comfort Zone」にいるという事です。

今、65や70歳定年が叫ばれていますが、この人達をそのまま70歳まで同じ環境に置くのは、会社にとっても本人にとってもよくないでしょう。この人材の活用が今後の日本社会の課題ですね。

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