📱父親のガラケーがスマホに退化した事件〜トイレの国からこんにちは
2012年ころだと思う。
うちの両親は共にまだガラケーを使っていた。
私自身もガラケーだ。
高齢者にとっては、ガラケーの方がボタンが手探りで探せるからいいと思うのだが、時代の流れは容赦ない。
世の中が段々とスマホに移行していく中で、
ある日突然、父親がガラケーをスマホに機種変更してきた。
あ?
前触れはなかった。
いや、あったのかもしれないが、同居していない私の知らないところでだろう。
母が言った。
「お父さん、携帯のプランを見直してもらうって行ってショップに行って、なんかスマホに変えてきたとよ。」
……。
ちょっと待て、うちの両親は夫婦二人での家族割プランに入ってなかったか?
そのころ、スマホとガラケーのセットプランがあったかどうか定かではない。
もっと重要なことがある。
うちの父は絶対にスマホを使いこなせない。
認知とかの問題ではなく、父親は緑内障で白内障で片目失明で視野欠損なのだ。
スマホのつるつる画面なんか見えるわけがない。
案の定、父はその日から電話をかけても出なくなった。
音もガラケーに比して小さめなので気づきにくく、気づいても、つるつるのスマホの画面のどこを押していいか分からないまま、留守電に切り替わ…らない!(設定できていない)
ある日私は提案した。
「電話でんやん。
ガラケーに戻したら?」
父は言った。
「いや、ほら、老人会でな?
こう、ポケットからスマホを取り出すだろ?」
ふんふんそれで?
「それで、こう(時間を)見て、「あ、もう何時になりましたな」と言って戻すだろ?
そうすると、みんなが、高梨さん凄いですなあと言って尊敬してくれるんだよ。」
……。
マジか!
この男、待受になってる時計しか見てやしねえ!
老人会の老人がスマホに感心してくれるからって!
私は思った。
高いオモチャですねー。
⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰⏰
そんなある日、事件は起こった。
私の携帯に、母から電話がかかって来たのだ。
母は言った。
「あんた、トイレに携帯忘れとらん?」
はい?
私は一瞬意味が分からなかった。
「は?
今、お母さん、どの番号にかけてるん。
私の携帯、今電話かかって来て、普通に話してるこれやけど。」
そもそも、私が携帯を忘れたと思ったのに、何故その番号にかけた?
結果は見えるだろう。
実家に確認に行った私が見たのは、スマホ。
父のスマホであった。
そして、父に渡そうとした母に、何故か私のだと言って電話をかけさせたのも父だった。
そもそもその時点で、私はガラケーだったと言うのに。
父が使いこなせないスマホ事件📱は当然続く。
(続く)
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