見出し画像

【内臓とこころ】解剖学者が解き明かす人体の不思議

人間の体は、こんなに科学技術が発達した現在においても、まだまだ分からないことが多い未知の世界です。中でも、目で見ることができない「こころ」は、謎に満ちた神秘的なものですよね。

「内臓とこころ」は、解剖学者である著者が保育大学で行った講演をまとめた本です。

お母さんのお腹から生まれてきた赤ちゃんの内臓はどのように成長していくのか、内臓の発育は「こころ」の形成にどんな影響を及ぼすのか…。それを素人にもわかりやすく説明してくれています。

今回は、この「内臓とこころ」を読んで、特に印象に残ったところを紹介していきます。

最も優れた内臓感覚を持っているのは口

内臓というと、日頃は目に見えないもので、痛みを感じるということがない限りは、そこで何が起きているのかは自分でもわからないものです。

そんな内臓の中で、1番鋭い感覚を持っているのが唇と舌。

生まれたばかりの赤ちゃんは、母親のお乳を吸うことでこの感覚を研ぎ澄ましていくと言います。食物を選択するときの触角の役割を果たす口は、生物の体の中で最初に発達していく感覚なんですね。

食べ物だけでなく、赤ちゃんはとにかく色々なものをなめまわします。これも発育において重要な役割を持っていて、「形」を知覚する力につながっていくんだとか。

物が「丸い」とか「四角い」とかは、赤ちゃんの時に舌で感じたことが記憶のベースになっているという説には驚きました。なんでも口に入れるところを見ると、つい止めさせなくちゃ!と思ってしまいますが、これは成長に必要なステップなんですね。

少々の毒は免疫力の構築に必要

赤ちゃんが口に入れる物は、神経質なくらい殺菌したくなってしまいますが、これも逆効果だそうです。適度なバイ菌が口に入ることで、体の防御体制ができあがるんだとか。

とはいえ「適度な」って難しいですよね…。少々の毒物は舌を通してどんどん入れてやるほうがいいと言われても、親としては気が気でないのではないでしょうか。

強い体に育ってもらうためには、グッとこらえて見守ることも必要ということですかね。

人間の体のリズムは90分周期

赤ちゃんが夜泣きをするのは、昼とか夜とかの感覚がないからという説が有力だそうです。大人のように24時間のリズムではなく、90分で1サイクルというリズムをくり返しているので、昼も夜もなく短時間で寝たり起きたりしているんですね。

大人でも寝ている時の脳波を計測したら、90分ごとに眠りが浅くなっているというので、人間は本来そういう生き物なのかもしれません。

人は普通に生活していると昼夜が逆転してしまう

長期休みの時にはついつい夜更かしをしてしまい、昼夜逆転の生活になってしまうことがあります。その度に、まただらだらしてしまった…と自己嫌悪に陥るのですが、そもそも人間は昼夜逆転してしまう生き物なんだとか。

人間の体のリズムは、実は24時間ではなく25時間。そのため、時間のわからない部屋で長期間寝起きさせると、毎日1時間ずつ時間が狂っていき、約2週間で完全に昼夜逆転してしまうそうです。

これには驚きました。

自分が規則正しい生活が苦手なんだと思っていましたが、そもそも毎日同じ時間に起きるというのは努力を要するものだったのです。今後は、少し寝坊してしまった日でも、人間だから仕方ない…25時間リズムだから…と自分に言い訳が出来そうです(ダメじゃん)。

最後に

自分の体のことなのにわからないことはたくさんあるもので、それを解き明かしてくれるような本は大好きです。

医療も日進月歩していますが、いつか人間の体もすべてがわかる日が来るのでしょうか。楽しみなような、謎な部分がまったくなくなるのは寂しいような…。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?