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「コップの水理論」で考え込む。

「コップの水理論」というものがあるそうです。
水が半分入ったコップをどう捉えるかというもの。
「”まだ”半分」
「”もう”半分」
あなたはどう捉えますか。

炭酸飲料のCMで同じようなものがありました。
「半分しかないと思う?」
「半分もあると思う?」

炭酸飲料だと話は変わってくる……。

まだ半分は「ポジティブ思考」で、もう半分は「ネガティブ思考」と
話を終えることもできます。
しかし、この理論にいろいろな示唆を感じます。

まず「〇〇理論」というところです。

理論
①物事の筋道や道理などについて論じること。また、論じ合うこと。論争すること。また、その議論。
②ある物事に関して、原理・法則をよりどころとして筋道を立てて考えた認識の体系。また、実践に対応する純粋な論理的知識。純観念的に組み立てられた論理。

精選版 日本国語大辞典

〇〇理論という言葉は、①よりも②の意味と捉える人が多いのではないでしょうか。例として有名な〇〇理論をchatGPTにたずねてみました。

■相対性理論(Theory of Relativity)
提唱者: アルベルト・アインシュタイン (Albert Einstein)
概要: 物理学における重力と運動の関係を説明する理論。特殊相対性理論(1905年)と一般相対性理論(1915年)があります。

■精神分析理論(Psychoanalytic Theory)
提唱者: ジークムント・フロイト (Sigmund Freud)
概要: 無意識の心の過程が行動や思考に影響を与えるとする理論。夢分析や自由連想法などを用います。

■ピラミッド構造理論(Hierarchy of Needs)
提唱者: アブラハム・マズロー (Abraham Maslow)
概要: 人間の欲求は5段階に階層化されており、自己実現が最上位に位置するとする理論。

これらの理論はそれぞれの分野で重要な役割を果たしており、多くの研究と議論の基礎となっています。

chatGPTより

「これらの理論はそれぞれの分野で重要な役割を果たしており、多くの研究と議論の基礎となっています」、そんなイメージを私ももっています。

コップの水理論……。
いかにも心理学系の研究をイメージさせます。何か大事なメッセージがあると感じます。しかし提唱者がいるわけではないようです。

次に前提条件が示されていない点、「まだ半分/もう半分」と選択肢が少ない点も気になります。

「この水を私が飲み干す」という条件を加え、私の「喉の乾き具合」を考慮します。
とても渇いている →「もう半分しかない」
まったく渇いてない →「まだ半分も残っている」

そして、やっとのこと水が飲めるというのなら「やっと水が飲める」と思います。さらに極限状態なら何か思う間もなく「がぶ飲み」です。

もし飲み干すという条件がないなら「ただコップ半分の水」です。

また、これを経営学的に捉えると話が変わります。経営学者のピーター・ドラッカー氏(1909~2005)はこう云っています。

「コップに『半分入っている』と『半分空である』とは、量的には同じである。だが、意味はまったく違う。とるべき行動も違う。世の中の認識が『半分入っている』から『半分空である』に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる」

ピーター・F・ドラッカー

『半分空である』に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる
「もう」でも「まだ」でもなく、ポジティブでもネガティブでもない。イノベーションの機会を生むには「半分空である」という行動につながる「認識」が有益に働くと云っています。

「コップの水理論」は、何か意味があるようなメッセージ性をもち、前提条件をこちらの想像に委ねています。
認識のエラーを誘発する仕組みがあるように感じ、何か騙そうとしているのではないかと警戒します。

世界を2分割で考えることはユーモアとしては好きですが、啓蒙で使いはじめると悪意を警戒します。

調査方法や母数を示さない指標、結果に都合のよい指標だけを示すことも、それに似ていると感じます。

「わかりやすい」「イメージしやすい」ということは大事なことですが、認識エラーを起こすこともあります。

コップの水理論でそんなことを考え込んでいました。
「わかりやすい」には注意も必要かもしれません。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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