「現状維持は衰退である」を考える。
「現状維持は衰退である」。福沢諭吉翁の言葉だそうです。
経営者が好む言葉だと感じます。でも従業員には響かない言葉だと感じます。この言葉をよく使う経営者はきっとストレスを溜めているのではないでしょうか。名言は解説が必要なことが多くあります。あなたの経験や体験が名言として認めているだけで、経験や体験が違うなら意味が通じない言葉だったりします。
今回は「現状維持は衰退である」を私なりに解説します。
まず言葉を整理するために辞書を引用します。
現状維持とは「現在の状態をもちこたえること」です。
「現状維持は衰退である」という言葉を使う人の現状は「何」を指しているのでしょうか。売上、利益、商品力、サービス……。
この言葉が成り立つためには、現状が「競争」にさらされている必要があります。すべてが現状維持されていれば、現状はそのまま維持されます。市場が変化する、人が変わる、競合が変化する、競争がおきなければ現状はそのまま維持されます。自社が変化せず、取りまく環境が変化するから衰退するのです。また人体はそもそも衰えていくものですので、それも衰退の原因ではあります。
つまり経営者と従業員では「競争」の見え方が違います。視座が違います。
経営者の競争は主に競合他社です。従業員の競争は主に社内にあります。競争が社内であるかぎり衰退のイメージは難しいです。
そもそも視座が違うままだと話は噛み合いません。
市場や他社が変化していくなかで、自社が変わらなければ衰退していく。競争のなかでは現状維持は衰退である。しかし競争は見え方が違う、もしくは競争が見えない、それなら腑には落ちないということです。
現状維持が「現在の状態をもちこたえること」ということなら、維持するためには「もちこたえる」必要があり、変化や努力や工夫が必要ですが、現状だけでは幅広すぎてイメージが難しいです。何を現状維持したいのかあいまいなため、手段のイメージもぼやけてしまいます。「売上」を現状維持、「利益」を現状維持ならもう少しイメージしやすいかもしれません。しかしこの言葉はメッセージ性も低いため、わざわざいうことでもありません。となると「現状維持は衰退である」は誰かに向けていう言葉ではなく、自分を戒める言葉なのでしょう。
名言を名言だと感じるのは自分です。自分に向ける、相手に向ける、どちらに向けるかで意味合いが変わる言葉もあります。
「現状維持は衰退である」です。学び続けることが重要なのでしょう。
お読みくださりありがとうございます。
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