一支援者の懸念

「就労選択支援」が創設され、来年度より徐々に開始されることになりました。
アセスメントを事業の主軸とし、その結果を基に本人や関係機関と共有し、本人の選択を支援するこの就労選択支援事業。

先日参加した講演の中で参加者によるディスカッションがあり、その中でも話題として触れられていました。
中には、「連携」や「地域」という視点を欠いた事業所が受託した場合の懸念や、本人不在での支援の展開、逆に本人の希望ありきの支援、サービスありきの支援になっていかないだろうかという懸念も話されていました。

この支援の肝は、まずもってアセスメントの質だと思います。
何を以て「質」というのか、というのが難しいところですが、この質に影響するのは支援者側の「出口のイメージ」かなと思います。
例えば、利用者の方に何らかの作業をしてもらって、評価をつけるとした時、どのように解釈するかが重要になります。
支援者側が解釈をおこなう上では、「職場ではどうだろうか」とか「どのような配慮があればうまくいくだろうか」という視点が重要になります。「なぜできたか」「なぜできなかったか」を突き詰めていくわけですね。
その際に、「こういう職場があったな」とか「こういう配慮をしてくれた会社があった」という経験で、解釈が変わってくるのではないかなと思います。ここが先ほどの「出口のイメージ」ということになります。

アセスメントシート自体はjeedが作っているとのことですが、この辺りの解釈が支援機関ごとに変わってくるのは否めないのかな、と。
アセスメント後に連携する複数の機関が、なぜそのアセスメント結果に至ったかを紐解いて、それならばこういう解釈も・・・と意見を合わせてアセスメント結果の修正や本人へのフィードバックになるのでしょうか。
正直他機関がおこなったアセスメント結果に従って支援をおこなうってどうなんでしょう。私は抵抗があります。
実際のところはどうなるでしょうか・・・。

以下は個人的な意見になりますし、地域の担当者の全てがそうだと言っているつもりはありません。出会った事例の一部でもありますが、懸念してしまう点でもあります。

地域の移行支援事業所をみてみると、事業所によっては担当者の変更が激しく、ノウハウの引継ぎも感じられないケースもあります。
中には丁寧に関わってくれているケースもありますが、こちらの方が稀かもしれません。もちろんこれは私個人の感想ですし、移行側にも事情があるのだと思いますが・・・。

担当者は目の前の利用者に精一杯、いかに就職させればいいのか、ということに苦心されているように思います。担当者レベルで「連携」とか「地域」といったキーワードは、果たしてどれほど根付いているのか・・・。

先述した講演ではこの点についてもナカポツが地域を成長させるのだ、と言われていたけれど、例えば成長を促しても、促された側はどう捉えるのでしょうか。
こういった国の思惑は、残念ながら地域の一担当者まで伝わっていないのが現状に思います。正直伝えたところで、ということも感じます。

一方で就労移行などの就労支援機関の職員も研修を段階的に受けるシステムを作って、支援の質の向上を、との話も出てきています。
その効果はいかに・・・。

就労定着支援事業の時は、サービスを動かす担当者が目の前の動きに必死で目的を見失っていたように思いますし、「ナカポツへの引継ぎありき」や「支援は月1回の訪問でよい」のような理解をしていました。
本質的な理解を事業所で深めた上で動いてほしいですし、連携を依頼される側の私も知識は入れておきたいと思います。

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