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転職に関する支援

転職の相談を受けることがあります。
転職の理由は様々ですが、多くの理由が現在の職場でのミスマッチングです。

今回は転職活動に至るまでの流れと、就職活動と転職活動の違い、支援者として気を付けたいポイントをまとめてみます。

転職の相談

多くの場合が現在の職場に何らかの不適応や不満を抱えていることが転職の原因となります。中には収入を増やしたいといったものもありますね。
まずはこういった転職に至った経緯を伺い、転職に求める目的を明らかにするところから聞き取りを始めます。

次にいつまでに、どのように転職活動をおこなうかを整理します。
期限のようなものはあるのか。いち早く転職したいか、それともじっくりと情報収集をしたいか。
働きながら転職活動を始めるか、すっぱり退職してから始めるか。退職後は例えば福祉サービスを利用しながら探すか、どこにも属さずに日中を過ごすか・・・。

最初の聞き取りにも関わりますが、どのような条件での転職先を探していくか。
不適応が起きていたのであれば、次の職場ではそのような状況に陥らないか。もしくはどうしても避けられない状況であればどのように対処するか、どのような配慮を希望するか。
もしくは訓練や治療する期間が必要なのか・・・。

そういった整理を経て、転職活動の進め方を一緒に整理していきます。
もちろん支援者がどの部分をどう支援するかも確認が必要ですね。

就職活動と転職活動の違い

大きな違いを分ける部分は、「働きながら転職するか」と「退職してから転職するか」となります。
後者の場合は就職活動の時とさほど変わりはないと思います。

条件を整理してハローワークなどで求人検索をおこない、希望に近い求人をみつける。
求人票を基に見学を調整する。必要であれば職場実習の機会を設ける。
それらの取組を経て、働いていけそうであれば求人に応募し、面接を受け、合否を待つ。

前者の「働きながら転職」の場合は、ここに現在の職場との調整が必要になります。

転職のこと、現在の職場に伝えて進めた方はどれだけいるでしょうか。私は前職では転職先が決まってから職場に伝えました。退職まで3ヶ月ちょっと前の時期でしたでしょうか。

多くの場合、このように職場には内密に事を進めます。
その中で見学や実習(おこなう場合)の調整をおこなう必要が出てきます。
見学や実習の、つまり転職先との調整は支援者が進めますが、現在の職場との調整は本人がおこなうことになります。
もちろん、本人が元々休みだった日に見学をおこなうよう配慮はしますが、どうしても難しい場合には有給休暇を取得するなどしていただく必要が出てきますからね。
最近は有給休暇に理由を求める企業は少なくなってきたようですが、未だに理由を明らかにしにくる企業もあります。そこは上手く方便を使っていただくことになります。

難しいのが職場実習です。企業によっては「必ず5日間連続で」というところもあります。
可能な限り連続で、実際に働く時間、数日の実習を組むことができればいいのですが、5日連続で職場を休んでは、企業としては「なんだなんだ」となりますし、最悪支援者に問い合わせが入る場合もあります。

そこで多くの場合は元々休みの日と、有給休暇を合わせて3日間とか、連日ではなくても数日とか、最悪1日、数時間・・・と可能な限り少しでも体験できるよう本人・転職先と調整をおこないます。
ただ、貴重な休みを実習に回すことになるので、現在の職場への影響が出ることもあるかもしれません。休みなしで連勤状態になることも・・・。そこは本人との調整ですね。

一方で、中には転職を現在の職場に伝えた上で進める場合もあります。
企業側に理解がある場合や、元々「うちをステップにしてもらえれば」といった企業である場合が該当します。
他には本人がぽろっと「転職活動をしている」と職場の身近な人に言って、それが上司まで回っていくこともあります。その上で理解してくれる会社もありますし、引き留めに入る会社もあります。様々です。

この場合には、もう転職の希望をオープンにしてしまい、見学や実習で必要な調整を支援者も含めて相談していくことになります。
私の経験では、案外と配慮や理解を示してくれる会社が多い気がします。露骨に「そんなもん勝手にやってくれ。うちに迷惑かけるな」みたいな対応はされたことがないような・・・。

そんなこんなで、まっさらな初めての就職活動とは一味違った転職活動が進められているわけです。

気を付けたいポイント

転職相談を受けた場合、まず整理するのは、現在の職場に対する不適応と不満を、現在の職場で解決することを希望するかどうか、という点です。
私たちの役割のひとつは「職場定着」です。現在の職場に定着するためにどのような環境調整や助言をおこなえばいいかをまずは考えます。そういった取り組みを経ても、どうしても取り除けない不適応や不満があるならば、転職という道もひとつだと考えます。

でも例えば最初の躓き、不適応で本人が転職を希望した場合には、「ちょっと待ってもいいのでは」とお伝えすることが大いにあります。本人の発言の意図や目的が「不適応や不満の除去・改善」であれば、転職はひとつの手段です。他の、例えば店長に相談して改善案を検討するという手段を使うこともひとつかもしれません。

次に転職の目的に沿った転職であることを確認していくことです。
私たちの役割のひとつは「職場定着」ですが、「就業(就労?)定着」という考え方もできます。つまり、「働いている状態を維持する」ということでしょうか。
転職がダメなわけはありません。またどこかで働ける環境を調整することも、定着支援だと考えます。
しかし、焦りや不安から当初の目的を見失った転職はお勧めできません。「15万円稼げないから」と始めた転職で、「13万円の求人」を本人が持参したならば、今一度目的を確認し、それに適う転職先なのかを精査します。

最後に本人との情報共有・意識統一が重要です。
どのように進めるのか、どのようなことを今の職場に、誰が伝えるのか。
本人が現在の職場で不利益を被る状況は避ける必要があります。
当たり前ですが、本人が伝えるつもりのなかった情報を、支援者が誤って伝えてしまうなどはあってはいけないことです。この点は特に慎重に決めていき、書面にしておくこともあります。
本人から誤って伝わってしまう、雰囲気で伝わってしまった場合に、企業から支援者に問い合わせが来た時の対応もあらかじめ決めておきます。
あまり対応を複雑にしたくないですし(正直対応しきれないこともあります)、企業との信頼関係もありますので、バレたら包み隠さず伝えることが多いかも・・・どうだったかな。ケースバイケース。
心苦しいですが、「絶対ばらさないでね!」と打合せることもある。

企業から不意打ちされたら基本的には初耳!という反応。「本人に(対応を)確認します!」と保留としましょう。

まとめ

転職活動は当たり前ですが、誰に止められるものでもありません。
本人が希望する以上、支援者はそこに向けて支援をしていきます。
ですが一方で、本人の転職の動機や目的によっては、再考することや別の手段を提案することもあります。転職はリスクでもある。今の職場で改善が望めるのであれば、そちらから着手していきます。
ここは本人の体調なども考慮して、ということになる。応急処置的な改善を求めながら、転職先の情報収集を並行しておこなうこともあります。

転職活動は大きく分けて「働きながらする」、「退職してからする」という2つの方法があります。
それぞれにメリットやデメリット、リスクがあります。
本人にとってどちらがいいのかは一緒に考えていきましょう。
一度退職して、心と身体を落ち着けたり、訓練したりする時間も無駄ではないと思います。環境が許せば、ではありますが。

支援のポイント、様々あります。
一番重要なのは、本人と現在勤める企業と支援者の信頼関係を維持しつつ・・・という点でしょうか。この三者がそれぞれの繋がりで信頼関係を損ねてしまうことは避けたいのです。
ですから、現在の企業に転職のことを伝えるか。伝えるとすればどのように、誰が伝えるか。伝えないのであればバレないようにどうするか、バレた時どうするかを考えておくといいかもしれません。それぞれの選択肢のリスクや対応を予想してみましょう。

再度言いますが、転職は誰が止めるものでもありません。
転職したいと伝わったとしても、それを咎める筋はないと考えます。企業から本人も支援者も、責められる筋合いはないのでは?
今の職場になるべく迷惑をかけず、転職する。それを水面下でおこなう。こんなもん、誰でも当たり前にやっていることですので。
「伝わらないように伝わらないように」と打ち合わせていると、後ろめたくも感じますが、実際はマナーとして、という部分が大きいでしょうか。堂々としていればいいのだと思います。

実習などが制限される場合(制度、シフトなどから)もあるし、心身ともに負担がかかります。
楽しい転職ってあるか?あるかも。自分はちょっとワクワクしていた。
支援者としても転職を前向きに考えられるといいなと思います。

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