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面談の準備と構成

先日、新人と車中で話していた時のこと。
面談の際の質問の内容について聞かれました。新人からすると、何を聞いていいのかわからない時があるようです。

私も働き始めた当初は、どのようなことを聞いたらよいのか迷うことは大いにありました。聞く内容、聞き方、その必要性、タイミングなどなど。
質問の方法や仕方、というよりも、面談に臨む際の準備と言っていいかもしれません。
面談の前にどのようなことを整理しているのか。それが結局、質問の構築にも繋がってくると思うので。

そこで今回は、面談や訪問の前に私がどのような準備をしているのか、その中でどのように質問を、というよりどのように面談の構成を作るのか、その上で意識している点をまとめてみます。

面談前の準備

まず面談する前に、直近の関りを確認します。先回の訪問や面談、対面で会った時にどのような話をしていたか。また電話でどのような話を聞いたか。
その中で本人や会社にさらに確認すべきことはないかを振り返ります。

さらに初回やその近辺の、本人を知るための期間の記録を参照します。ここには障害種別や発症時の状況、これまでの退職理由、会社への希望や今後どのようになっていきたいかなどがまとまっています。

特に発症時の状況や退職に繋がった原因が今の職場で生じていないかは重要な点なので、現状の記録から今後を見通し、必要な確認事項を確定させていきます。

例えばこれまで繁忙期に症状が悪化し、それが退職に繋がっていたとすると、現在の職場の繁忙期はいつか、繁忙期には業務内容がどのように変化するのか、本人はどのように対応すればよいのかを確認しておくことが必要かもしれません。

また、企業に伝えている配慮事項について確認します。
その事項は現在も維持されているか。維持されていないのであればそれはなぜか。再度配慮が必要か、提供できるのかなどになるでしょうか。

これらは対象者によって個別の設定が必要になります。ここで「見立て」の力が必要になってくると思います。
本人のこれまでの傾向を把握して、離職するポイントや職場定着するポイントを「見立てる」こと。

職場の環境や本人の上司、職場の担当者の性格傾向や特徴を把握して、その後の職場環境の変化や本人との相性を「見立てる」こと。

それらが相互的、総合的にどのように作用し合い、解決すべき点はどこにあるのか、また現実的な妥協点はどこかなど。

一度の面談や訪問でここまで整理できるかはわかりませんし、一度に多くを確認することができない場合もあります。
思いついたことをすべて確認するのではなく、その重要性や緊急性を考えて、確認の優先順位を立てていきます。

ここまでで大まかにAさんの支援の中で確認することが箇条書きできてくるかと思います。

それとは別に、定型文的な確認事項もあります。

例えば、今やっている業務内容や仕事の時間、休みの曜日、遅刻欠勤早退の有無、通院結果などでしょうか。
こういった定型的な確認は毎回おこなうことに意味がありますね。その中で以前との変化に気付くことになりますので。

面談の構成

自分の中ではまず、ざっくりとおおまかに確認をおこなうことから始めます。

上記で言うと、定型的な質問からですね。
はいかいいえで答えられるものや、「何か変わったことありましたか?」のような聞き方になるでしょうか。
その中で本人が自覚している変化をいろいろと話してくれることもあれば、「ありませんね」で終わる場合もあります。

後者の場合には念のため、以前の面談ではこうでしたが~と思い出してもらいながら現状と比較してもらっています。

で、一通り定型的な質問が終われば、個別に見立てた課題点の確認。
課題をあまり感じない場合はざっくり質問で終えることもあります。
個別の確認をする中で、本人が実感していなくても以前の退職時に近い状況に環境が変わりつつあることなどがわかることがあります。

本人だけでなく、企業の方との面談もおこないます。
ここでは企業の方から見て対象者が困っていそうなことの他、企業担当者自身が感じている困り感も聞き取ります。

やっぱりそれぞれから個別に聞いた方がいいな、と感じる今日のこの頃です。

面談で意識する点

ひとつは本人や本人を取り巻く環境の変化を見逃さないという視点です。
会社や生活は一定ではなく、変化することがあります。たとえ現状で安定していようが、望もうが望むまいが、ある時期には変化していくものです。
その変化に気付けるように質問を考えていきます。

変化した先には退職に繋がる原因が出てくるかもしれないからです。

変化やその兆しを感じた際には、今後どのようになっていくか、見通しがつくのか、そうでないのか、それは望ましいものなのかそうでないのか、本人の雇用継続にどのような影響が考えられるかを本人や企業担当者双方に確認することになります。

もうひとつは、本人と企業担当者、支援者の三者間で認識のずれの確認という視点です。
この三者の認識がずれていくと、不適応や不調、果ては退職や支援できない状況になってしまいます。

たとえば、本人が評価されていないと感じていて、それが不調を招いているのであれば、なぜそう感じるのかを聞く。そしてそのような事実があるのかを企業側に確認する。

また本人が自分は十分やっていると感じていても、企業側が不足を感じていることもある。その原因はなぜか。修正するのはどちらの認識なのかを確認する。

本人が希望していることは一般論としては難しいが、勤めている企業では実現可能なのか。支援者が判断するのではなく、企業側に確認をおこなう。

上記は例ですが、この辺りがずれてくると、支援者としては課題の把握と対応の幅の見立てに誤りが生じてきます。

そのためにも、三者が同席して話し合う時間を設けることは重要だと思います。
そのことを伝えても、なかなか忙しい職場だと個々の対応になることも少なくない・・・。
そんな時もあきらめず、なるべく正しい情報共有ができるように可能な工夫を試みているところです。

まとめ

面接の準備として、本人のそれまでの経緯を振り返って課題を抽出し、整理した見立てに則して支援のポイント、特に離職になる可能性がないかを確認できるような質問を考えます。

また仕事の内容や時間、休日、生活面での変化や通院の結果など、定型文的な質問、毎回おこなっている質問も漏れがないよう準備します。

自分の場合は記録を紙面で出力し、課題になっている点や変化しそうなところにマーカーを引いています。

面談の構成としては、まずざっくりと定型文的な質問をおこなってテンポよく答えを聞いていき、話している雰囲気を作ります。
その後、場合によっては本人の耳に痛い部分、個別の課題や特に気になるポイントに質問の焦点を当てます。
職場訪問では本人だけでなく、職場の担当者とも面談をおこないます。順番は会社によって異なりますが、個人的には「企業→本人→両者同席」がやりやすく感じますかね。

企業と本人それぞれに、どの点を互いに共有すべきか、伏せておくかを確認します。伏せておきたくても伝えた方がよいことはそのように伝え、調整をしていきます。

面談で意識する点としては、本人とそれを取り巻く環境の変化があるかどうかがひとつ。もうひとつは本人、企業、支援者で認識にずれがないかの確認です。
これらを意識した質問や確認をおこなうことが重要だと考えます。

そのための三者同席を提案するのですが、企業側の忙しさから難しい場合も少なくありません。

支援者の中では企業側を支援者と位置付けることに賛否があります。
この意見に対して私は、日和った回答になりますが「企業は支援者であり支援対象者」という二面性があると感じます。

どちらにしろ、支援を希望しているのは本人と企業であるはずなので、(支援者が支援したい!と思っているわけではない)であるならば、支援をする上でそれぞれ協力してほしいと思ってしまいますね。

みなさんは面談する時、どのような準備をされるでしょうか。先回の記事でも書きましたが、私は事細かに情報を覚えているわけではないので、記録システム様様です。
それぞれの工夫や、押さえているポイントなどあれば知りたいなと思います。

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