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医療DX推進体制整備加算について

2024年6月1日より診療報酬が改定となりました。今年は、医療(2年に1度)・介護(3年に1度)の診療報酬が同時に改定になる年で、大幅な報酬改定が行われました。

5月はこれに伴い、検討、準備等でお忙しくされていた医療機関も多いのではないかと推測します。

もうすでに算定している医療機関も多いかと存じますが、今回は、我々も注目している「医療DX推進体制整備加算」についてご紹介していきたいと思います。


医療DXとは

医療DXとは、病院、診療所、薬局などの医療の分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の事を指します。

日本の医療の発展の為、下記5点の実現を目指しています。

  1. 国民の更なる健康増進

  2. 切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供

  3. 医療機関等の業務効率化

  4. システム人材等の有効活用

  5. 医療情報の二次利用の環境整備

国民全体がより良質な医療やケアを受けられるように、疾病の発症予防などの保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを、クラウドなどを通して、各関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図ります。

医療DXが必要な理由

医療にDXが必要とされる背景には「医療機関等の業務効率化」と「情報統合」が求められていることがあります。

日本では高齢化が急速に進み、2050年には高齢者人口は37.7%に達すると見込まれております。社会保障制度を持続可能なものとするため、健康寿命の延伸が喫緊の課題となっています。

この課題を解決するため、保健・医療・介護施設の業務効率化と、医療DXによる情報の集約と統合が必須と考えられています。

地震などの自然災害や、新型コロナウイルスのような新型感染症の拡大など、日本の医療は常に想定外の状況に晒される可能性を含んでいるという事もあり、国全体で最新の情報を把握する必要があります。

これまでの取り組みとこれから

記憶に新しいのは、『オンライン資格確認の導入』です。

マイナンバーカードの健康保険証利用が可能となったことにより、全国の医療機関にて、オンライン資格確認機器の導入が広まりました。

国の補助金制度も助けたことで、長野県では、令和6年4月末時点で9割以上の医療機関等がオンライン資格確認機器の導入が完了したそうです。(厚生労働省「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」参照)

令和6年12月2日には、現行の健康保険証は廃止され(※)、マイナンバーカードと健康保険証が一体となった『マイナ保険証』へ移行していく予定となっております。

(※)2024年12月2日より、現行の健康保険証の新規発行が出来なくなります。経過措置として、廃止後1年間は現行の保険証をそのまま使用することができます。

医療DX推進体制整備加算

今年の12月には現行保険証を廃止し、国としては『マイナ保険証』の利用者を一気に増やしていきたいところではございますが、現状、マイナンバーカードを常時携帯する者は4割程度と言われています。

『マイナ保険証』の利用率も低く、医療現場における利用勧奨の取り組みが必須となってきております。そこで今回の【医療DX推進体制整備加算】が制定されました。

現在は経過措置もあり、算定要件が比較的簡単でとりやすいので、まだ算定開始していないという方は、ぜひ早い段階で届出を出していただくことをお勧めしております。

要件および施設要件の例

マイナ保険証、電子処方箋などの「医療DX推進体制」を評価

<初診> 8点(歯科6点、調剤4点)
<施設要件例>
【1】マイナ保険証での取得情報を診療室で使用できる体制
【2】マイナ保険証の利用勧奨の掲示 Ex.窓口での共通ポスターの掲示
【3】マイナ保険証利用実績が一定程度(●%)以上であること
【4】電子処方箋を発行できる体制(薬局は受け付ける体制)
【5】電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制

引用|厚生労働省保険局医療課「医療DX推進体制整備加算の算定要件について」より抜粋

掲示用ポスターおよび配布用チラシ

下記周知素材の掲示および配布が「【2】マイナ保険証の利用勧奨の掲示」の対象となります。正規広報素材は厚生労働省のサイトよりダウンロード可能です。

引用|厚生労働省|「オンライン資格確認に関する周知素材について」より

6月からの算定は届出期限が過ぎてしまっており出来ませんが、7月から算定に向けぜひ一度確認してみていただければと存じます。

「③マイナ保険証使用実績が一定程度(●%)以上であること」等、未確定の事項も多く、我々も常に情報収集しております。

ご不明点のある方は、ぜひ一度、弊社ご担当者までご相談いただければと存じます。

 執筆担当者
長野事業部 和田千穂