「異論のない満場一致は逆にだめ」千人之諾諾、不如一士之諤諤

千人の諾々も、一士の諤々に如かず
―千人之諾諾、不如一士之諤諤―

[原文](史記)
千人之諾諾、不如一士之諤諤。

[書き下し文]
千人の諾々も、一士の諤々に如かず。

[原文の語訳]
千人の無批判賛成は、一人の士による直言には及ばない。

[解釈]
右に倣え的に何でも安易に同意する千人よりも、自分の考えを述べるひとりのほうが貴重な存在であるということです。

ワンマン経営やトップダウンといった組織では、部下は意見を述べることなくトップの言うことに従うだけになります。健全な時はいいですが、道を外れたり業績が傾いたりした場合には非常に危険です。どんな状況であっても物申す存在が必要です。

トップを助ける人たちの多くは「トップがこう言ってるから」という一点張りに成りかねません。自ら考えることをしなくては、トップの本当の意図や誤りに気付くことができないのです。

一方でトップやリーダーは耳が痛いことを直言するご意見番を排除しないようにしなくてはいけません。何も言われなくなったのは自分が優秀になったこともあるかもしれませんが、それを傲って直言を傾聴しなくなっているからかもしれません。「言っても無駄」と思われてしまうと、誰も言ってくれなくなるものです。

トップ企業の中には「すんなり満場一致した事業や企画は採用しない。異論が出たものこそ発展させる」という考えをもつところあります。異論の出ない満場一致では皆が安心しきってしまい問題点に気づけないという考えからだそうです。

何の異論もなく同調する場合は聞き流していないか「どの辺が特に賛成する点か」と質問してみるのもいいかもしれませんね。

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