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[勝手推敲]令和3年7月29日 談話室

原文

▼▽「主審をやると決まってからは、誰にもそれを漏らさず、先入観を持たないように両選手に関する情報も遮断しました」。両選手とは柔道男子の阿部一二三(ひふみ)、丸山城志郎の両ライバルのこと。東京五輪の代表を争った。▼▽昨年12月のその決定戦で主審を務めたのは天野安喜子(あきこ)さん(50)。ある機関誌のインタビューで厳格に臨んだ当時を振り返っていた。元々は柔道の国内有力選手で、引退後に審判の道に。そしていま東京五輪の柔道で、日本からただ1人の審判員として連日試合を裁いている。▼▽天野さんはもう一つ、花火師という顔がある。江戸時代から続く老舗花火屋「鍵屋(かぎや)」の15代目当主。花火の掛け声のかぎやー、たまやーで知られる鍵屋である。大学院で花火の芸術性を研究して博士号を持ち、花火の現場を仕切る。異世界で二足のわらじを履いて活躍する。▼▽本人によると、花火と柔道の審判は迷いを払い覚悟を持って臨むという点で相通じるそうだ。阿部・丸山の一戦は主審の打診が来たら、やると心に決めていた。「試合の緊張感みなぎる時間を選手と共有したかった」という。五輪の畳にもその思いで上がっているのだろう。原文(2021年7月29日付 山形新聞 談話室)

推敲後

▼▽「主審をやると決まってからは誰にもそれを漏らさず、先入観を持たないように両選手に関する情報も遮断しました」。両選手とは東京五輪の代表を争った柔道男子の阿部一二三(ひふみ)と丸山城志郎の両雄である。▼▽昨年12月の代表決定戦で主審を務めた天野安喜子(あきこ)さん(50)が、ある機関誌のインタビューで厳格に臨んだ当時を振り返っていた。元々は柔道の国内有力選手でもあり引退後は審判の道に。今は日本からただ1人の審判員として東京五輪の柔道で連日試合を裁いている。▼▽その天野さんには花火師というもう一つの顔がある。江戸時代から続く老舗花火屋で、花火の掛け声の「かぎやーたまやー」で知られる鍵屋(かぎや)の15代目当主である。大学院で花火の芸術性を研究し博士号を取得しており現場を仕切る。異世界で二足のわらじを履いて活躍している。▼▽本人によると迷いを払い覚悟を持って臨むという点で花火と柔道の審判は相通じるそうだ。阿部・丸山の一戦は主審の打診が来たらやると心に決めていたという。「試合の緊張感みなぎる時間を選手と共有したかった」という。五輪の畳にもその思いで上がっているのだろう。

後記

「」内のコメント部分については読点以外は触らないようにしました。
最後の部分は花火と絡めた表現ができないかと考えましたが浮かびませんでした。

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