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[勝手推敲]令和3年7月22日 編集手帳

はじめに

まだ日付表記を令和3年とすると2021年とするか悩んでいます。

原文

野球では投げ方、打ち方を、投げ口、打ち口とはいわない。どこか、ふしぎなことばである。大相撲では、相撲の取り方を「取り口」という◆味わうものだからだろうか。名古屋場所千秋楽。白鵬が照ノ富士を制した一番に、苦い味を口に覚えた。数十秒の迫力あるにらみ合いのすえ、白鵬はいきなりかち上げを見舞わせた。ヒジを相手のあごにぶつける乱暴な技である◆反則技ではないし、ルールの範囲で横綱が強さを示したことはわかる。とはいえ番付最上位の力士が期待通りに全勝で千秋楽を迎え、優勝を決めるというめったにない大一番だっただけに苦みが強い◆なぞも残った。かち上げがなかったら、どちらが勝ったろう? 品格の伴わない強さを強さと認めないのが大相撲の伝統だろうし、そこに魅力を求めるファンは多い。と、苦言を呈するのも来場所の期待ゆえである。照ノ富士が横綱に昇進した。もし全勝同士の横綱対決が千秋楽に見られるとしたら、いつ以来だろう◆じつはうるさい相撲通の書きぶりをしてみたかった。来たる横綱対決では何も文句の出ない取り口で、口をふさいでもらいたい。(2021年7月22日付 読売新聞  編集手帳)

推敲後

野球では投げ方を投げ口、打ち方を打ち口とはいわないが大相撲では取り方を「取り口」という。味わうものだからだろうか不思議なことばである◆白鵬が照ノ富士を制した名古屋場所千秋楽の一番には苦味を覚えた。数十秒の迫力あるにらみ合の末に白鵬は相手のあごに肘をぶつける乱暴な技「かち上げ」を見舞わせた。ルールの範囲内で反則技ではない◆横綱が強さを示したことは理解できる。しかし番付最上位の力士が期待通り全勝で千秋楽を迎え、優勝を決める大一番となるとめったにない機会だっただけに強い苦みが消えない。重ねてかち上げをしなかったらどちらが勝ったろうかと謎も残った◆品格の伴わない強さを強さと認めないのは大相撲の伝統であろうし、品格を伴った強さに魅力を求めるファンは多いはずだ。このように苦言を呈するのも来場所への期待からである。照ノ富士が横綱に昇進した。千秋楽に全勝同士の横綱対決が実現すればいつ以来となるだろうか◆じつはうるさい相撲通の言いっぷりをしてみたかった。来たる横綱対決では物言いのつけようがない取り口で、この通ぶった口をふさいでもらいたい。

後記

予想はしていましたが難しいのが率直な感想です。原文を使っているのは無から書き出すよりも時間の短縮ができることもありますが手本とするためでもあります。
読点「、」の削除と主語や修飾語の適切化のために文節の入れ替えのほか言い換えに重点をおいています。

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7月22日 編集手帳 :編集手帳 :編集手帳・よみうり寸評 :読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/note/hensyu-techo/20210722-OYT8T50000/
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