「原因は自分にある」求諸己而己矣

これを己に求むるのみ
―求諸己而己矣―

[原文](礼記 第四十六篇 射義)
射者、仁之道也。求正諸己。己正而後發。發而不中、則不怨勝己者、反求諸己而已矣。

[書き下し文]
射は仁の道なり。射は正しきを己に求む。己正しくして而して後発す。発して中らざる時は、則ち己に勝つ者を怨みず。反ってこれを己に求むるのみ。

[原文の語訳]
射を行うことは仁に近づくための修行である。弓を射る前に己の内側を正しくすることを求める。己を正しくした後に矢を発する。発しても当たらなかった時は、自分に勝った人を怨まない。反省し原因を自分に求めるだけである。

[解釈]
成功しないのは自分のせいであって、成功した人を怨んではいけない。自分のことを棚に上げて人を批判するなどもっての外ということです。

できる人は「人は人、自分は自分」原因を責任転嫁したり、外に求めるのではなく自分にあると考えるのです。トップやリーダーが最後の決断を独りで行うことにも通じるところかもしれません。

弓道でも動かない的に当たらないのは自分に原因があるのです。雑念や雑音、風などを理由にするわけにはいきません。

問題が起きた時、心を落ちつかせて冷静になり、責任追及よりも原因究明を優先して行い、同じ過ちを繰り返さないように早く対策を打つ必要があります。

達成できなかった理由を考え、原因を分析し、改善を試みて、再挑戦する。PDCAサイクルの自己完結ですね。

自分の主張を受け入れてもらえないのは、その主張が相手を思っての正しいものなのか、説明の仕方が相手に理解できるものだったのか再考する必要があります。同じこと繰り返して言うのみで、賛同してくれない相手をただ批判するだけのトップには困りものです。

読めない漢字があるのは自分が知らなかったからで、そこで「この漢字を知ろう」という明確な意志をもってから辞書を引けば憶えることもできます。「知らなかったのは教えてもらってないから」などと文句を言うのではなく、今から自分で知ろうとすれば良いのです。

ただ、なかなか成功を人に譲り、失敗を我がモノにするのは難しいですよね。

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