「忘れてはいけないことと忘れるべきことがある」而怨則不可不忘

怨みは則ち忘れざるべからず
―而怨則不可不忘―

[原文](菜根譚 前集)
我有功於人不可念、而過則不可不念。人有恩於我不可忘、而怨則不可不忘。

[書き下し文]
我れ人に功あるも念(おも)うべからず。而(しか)るに過ちは則ち念わざるべからず。人我れに恩あらば忘れるべからず、而るに、怨みは則ち忘れざるべからず。

[原文の語訳]
他人に施したと善行は忘れ、しかしかけた迷惑は忘れてはならない。他人から恩を受けたら忘れず、しかし恨みは忘れなければならない。

[解釈]
「自分に厳しく他人に優しく」を基本に、忘れてはいけないことと忘れるべきことがあるということです。

叱咤激励も受け止め方次第ですが「言われたことは忘れず、言われた言葉は忘れる」のが良いかもしれません。言われたことをサッと自分の言葉に変えて要点をメモし、その時の自分の感情も少し書いてみて、後はササッと忘れてしまいましょう。

失敗や迷惑をかけたことを省察し、その時に助けてもらったこととあわせて書き出しておく、前述のアドバイスも改善点として書いておくようにすると一石三鳥ですね。そうすると「善行」と「怨み」は書き出さないから忘れます。「怨み」も書いて忘れるという方法もあります。

親も子に対して「育ててやったんだから」と押し付けないようにしなくてはいけませんが、子どもは「育ててもらった」という思いは忘れてはいけないですね。

陰に多く人の働きがあったことを忘れ自分の手柄のように成果を強調し、苦言を呈せられたらさっさと見切ってしまうようなトップには困りものです。

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