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[勝手推敲]令和3年8月18日付 読売新聞 編集手帳

原文

日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代の初期、長崎の出島からといわれる。「珈琲」という漢字表記は比較的新しいそうである
◆江戸時代の文献には「骨非」「骨喜」「可否」といった様々な当て字が見つかるという。なかでも「可否」は明治時代の中期、東京・上野に誕生した日本初のコーヒーハウスとされる「可否茶館」の看板に使われている
◆仕事の途中の一服、コーヒーブレイクを楽しみにしている方は多いことだろう。先日、その“可否”にかかわりそうな記事を読んだ。コーヒー豆の相場が急騰しているという
◆主要産地のブラジルが寒波に見舞われ、豆の生育に懸念が高まっていることから先物相場が跳ね上がった。レギュラーコーヒーならば店頭価格が2割ほど上がる見通しだ。寒波のほか、コロナ禍の金融緩和で市場に資金があふれ、投資先としてコーヒー豆が選ばれるという事情もあるとか。まあ、何から何まで迷惑な感染症である
◆本紙「四季」欄でおなじみの長谷川櫂さんに夏の一句がある。<珈琲に浮かべし氷音涼し>。気温がきょうから、ふたたび上昇するとの予報が各地に出ている。(2021年8月18日付 読売新聞 編集手帳)

推敲後

日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代の初期、長崎の出島からといわれる。『珈琲』という漢字表記は比較的新しいそうである
◆『骨非』『骨喜』『可否』といった様々な当て字が江戸時代の文献に見つかるという。なかでも『可否』は明治時代の中期、東京・上野に誕生した日本初のコーヒーハウスとされる『可否茶館』の看板に使われている
◆コーヒーブレイクを仕事の合間の一服に楽しみとしている方は多いことだろう。先日、その『可否』にかかわりそうな記事を読んだ。コーヒー豆の相場が急騰しているという
◆主要産地のブラジルが寒波に見舞われ、豆の生育に懸念が高まっていることから先物相場が跳ね上がった。レギュラーコーヒーならば店頭価格が2割ほど上がる見通しだ。寒波の影響以外にも、コロナ禍の金融緩和で市場にあふれた資金の投資先としてコーヒー豆が選ばれるという事情もあるとか。何から何まで迷惑な感染症である
◆本紙『四季』欄でおなじみの長谷川櫂さんに夏の一句がある。<珈琲に浮かべし氷音涼し>。気温がきょうから、ふたたび上昇するとの予報が各地に出ている。

後記

『仕事の途中の一服』を『仕事の合間の一服』にすると少し意味合いが変わってしまう懸念もありましたが変えました。
また、読点をつけて『仕事の途中の一服』とするよりも『コーヒーブレイク』が主となると考え入れ替えました。

仕事の途中の一服、コーヒーブレイクを楽しみにしている方は多いことだろう。

コーヒーブレイクを仕事合間の一服に楽しみとしている方は多いことだろう。

読点をつけることを考えると『のほか』よりも『の影響以外にも』の方が主張が強められるのではないかと考えました。

寒波のほか、コロナ禍の金融緩和で市場に資金があふれ、投資先としてコーヒー豆が選ばれるという事情もあるとか。

寒波の影響以外にも、コロナ禍の金融緩和で市場にあふれた資金の投資先としてコーヒー豆が選ばれるという事情もあるとか。

この一文、特に『可否』とつながる文が先がないです。コーヒーが高騰しているのなら『コーヒー』にするか、あるいわ『可否』に絡めた文言が要る気がします。

先日、その『可否』にかかわりそうな記事を読んだ。

コーヒーの漢字表記の部分は話し言葉ではないので「」ではなく『』にしました。

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8月18日 編集手帳 : 編集手帳 : 編集手帳・よみうり寸評 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/note/hensyu-techo/20210818-OYT8T50000/
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