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[勝手推敲]令和3年8月17日付 福島民友新聞社 編集日記

原文

八幡へ参らんと思へども賀茂川桂川いとはやし―。八幡様にお参りしようと思っても、川の流れが速い。平安時代の今様、現代風に言うと歌謡曲の詞をまとめた「梁塵秘抄(りょうじん ひ しょう)」を読んでいくと、京都や大阪の川が繰り返し詠まれている
 ▼川や河原は古くから神が遊ぶ場所と考えられたり、人が生きる世と浄土を分ける境と考えられたりしてきた。川沿いに神社などが多く建てられているのはこのためだ。春秋のお彼岸も、川の対岸に亡くなった人がいるとの発想によっている
 ▼お盆は、大雨ばかりが気になった。九州や四国などでは避難情報で最も高いレベルの「緊急安全確保」が出た。早めの避難を促す言葉とともに、増水した川、泥に埋もれた家屋などが何度もテレビに映し出された
 ▼県内でも避難指示の前段階に当たる「高齢者避難」が出た地域があった。山の斜面にある墓地も少なくない。危険を避け、墓参りを来月のお彼岸に延ばしたという人もいるのではないか
 ▼中通りや会津を中心に、県内はあすも雨が降るとの予報だ。大雨による河川の決壊や土砂崩れは、決して対岸の出来事ではない。豪雨に見舞われた地域の人の無事を祈りつつ、自分ならどうするかに思いを巡らせたい。(2021年8月17日付 福島民友新聞社 編集日記)

推敲後

八幡へ参らんと思へども賀茂川桂川いとはやし―。八幡様にお参りしようと思っても川の流れが速い。平安時代の今様、現代風に言うと歌謡曲の詞をまとめた「梁塵秘抄(りょうじん ひ しょう)」を読んでいくと、繰り返し京都や大阪の川が詠まれている

 ▼川や河原は、古くから神が遊ぶ場所と考えられたり、人が生きる世と浄土を分ける境と考えられたりしてきた。川沿いに神社などが多く建てられているのはこのためだ。春秋のお彼岸も、川の対岸に亡くなった人がいるとの発想によっている

 ▼お盆は、大雨ばかりが気になった。避難情報で最も高いレベルの「緊急安全確保」が九州や四国などで出た。早めの避難を促す言葉とともに、増水した川や泥に埋もれた家屋などが何度もテレビに映し出された

 ▼県内でも避難指示の前段階に当たる「高齢者避難」が出た地域があった。山の斜面にある墓地も少なくない。危険を避け、墓参りを来月のお彼岸に延ばした人もいるのではないか

 ▼中通りや会津を中心に、明日も県内は雨が降るとの予報だ。大雨による河川の決壊や土砂崩れは決して対岸の出来事ではない。豪雨に見舞われた地域の人の無事を祈りつつ、自分ならどうするかに思いを巡らせたい。

後記

読点を減らすのを今回の主目的にしました。
2段落目と3段落目が連続して読点から始まることに悩んだのですが『川や河原は』も『お盆は』とも段落の主となる言葉であることから残しました。

川や河原は、古くから神が遊ぶ場所・・・
↓(こうしたかったのですが)
古くから川や河原は神が遊ぶ場所・・・

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【8月17日付編集日記】対岸:編集日記:福島民友新聞社 みんゆうNet
https://www.minyu-net.com/shasetsu/nikki/FM20210817-648228.php
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