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ゆるめの映画感想〜「ヴィンセントが教えてくれたこと」

最初から最後までずっといいなーと。
そう思える一本だった。

荒くれ者で、酒、ギャンブル、タバコに溺れてお金もないじじいのヴィンセント(ビル・マーレイ)。
そのお隣に引っ越してきた、いじめられっこの少年オリヴァー(ジェイデン・リーベラー)。

この二人の交流を軸に物語は進んでいく。

最初の方に描かれるヴィンセントはそりゃもう最悪で、銀行員に当たり散らすし、お金がない→競馬で当てよう!という発想だし、飲んだくれて言葉遣いも汚い。

そこに登場するオリヴァーがなんとまあ、透明感があって可愛らしい少年。一目でオリヴァー可愛い、オリヴァー好きぃぃってなる。
でもこのオリヴァー、ただのひ弱で内気ないじめられっこかと思いきや、意外と芯は強くて、言いたいことは言う。離婚調停中の母親が、どうして父親から逃げてきたのか、自分を育てるために遅くまで仕事してるから学校に迎えにこれないのは仕方ない、なんてこともちゃんと分かっている。(分かっているからこそ、寂しげな表情が切ない)

とあるきっかけで、ヴィンセントの家にお邪魔することになったオリヴァー。
ブツブツ言いながらも、さすがに子供は邪険に扱えないのかなというヴィンセント。

ヴィンセントの家にはフィリップという猫がいて、これがとっても愛らしい。
表情はずっと不機嫌でブサイク顔なんだけど、真っ白でふわっふわの毛並み。
掃除も片付けもろくにしてなさそうなヴィンセントの家に、なんでこんな上品で綺麗な猫がいるんだろう?と思うけど、後に出てくる妻が関係しているのかなーとか思う。

そのまま渋々オリヴァーのシッターをすることになったヴィンセント。
二人の仲が一気に縮まるのは、オリヴァーが同級生三人に囲まれ、いじめられていたところをヴィンセントが一喝して助けてくれたところ。
よく見るとまあ子供相手に大人気ないなーとは思うんだけど、でもこのとき差し伸べられたヴィンセントの手は、オリヴァーにとって間違いなく光で、大きく、温かかったんだと思う。

そこからの二人は、競馬にバー、夜の女(このナオミ・ワッツがまた良い)との交流にケンカの必殺技の伝授と。
見る側はあちゃーと目を覆ってしまう、けど憎めなくてなんか笑ってしまう、といった関係性を築いてく。

そんなこんなが色々あって、最後のオリヴァーのスピーチのシーンはもうずっと泣いてたので(←)ぜひ本編で見て欲しいなと思う。

原題は「St. Vincent​​」
つまり、「聖人ヴィンセント」ということで、最初「ん?どゆこと?正反対じゃない」ってなるんだけど、実はこの「聖人」というのがストーリーの軸になっていて、最後に効いてくるから憎らしい。

いじめっ子だった同級生と後半は打ち解けて仲良くなったり、ベタな展開も多いんだけど、そこはやっぱりオリヴァーはまだ子供なんだよな、と思わされるのでまたよかったりする。

見終わる頃には登場人物それぞれの人生が愛おしくて、みんなが笑って食卓を囲むことがとても清々しい。

あと、ところどころ「あ、この構図カンペキ!」と思うような画があるので、映画ってやっぱりいいなと思う。(うまく表現できなくて雑すぎるw)
エンドロールとか、どこを切り取っても最高で、なんだよ!ヴィンセントめちゃくちゃかっこいいジジイじゃないかよ!と微笑んでしまう。

笑って泣けて、ほっこりする。
ありきたりな表現だけど、こういう物語はやっぱりいいなーと思う。



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