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個展に行って、たぶんはじめて、「絵」を買った話

好きな作家の方がおりまして、ふだんはTwitterやInstagramでその作品を眺めていたのですが、高円寺のギャラリーで個展をやっていたので行ってきました。

伊藤ゲンさんという方です。東京芸大を中退後に舞台美術をやられていたそうです。

描かれる絵にすごく生活感があって、とてもいいんです。

たとえば、この扉がある団地とか絶対、昔住んでた気がしませんか。

横にはたしかこんな「流し」があって、

こんなパンを食べていたじゃないですか。

トイレットペーパーはコンビニで買って、雑にビニールを破いてあけていたはずだし、

たまには健康的なものを食べるかと思い立って、コンビニで野菜多めのパスタを買ったりしてね。

ダウンは当然、ユニクロ。

その横の押入れには、適当な衣装ケースとAmazonの空き箱があったりするでしょう。

伊藤ゲンさんの描かれる対象、なにもかもに既視感と独特のかわいらしさがあって、めちゃくちゃいいんです。

なぜかずっと見ていられる。

珍しいものでもないのに目が離せないんです。

会場で少しお話しまして、「コンビニではセブン-イレブンが一番気に入ってる」と仰っていました。そのへんもとても趣味が合うのでうれしかったです。

そして最後に、思い切って、僕はこの絵を購入しました。生まれて初めて買った絵は、「海老とアサリの冷製バジルソースパスタ」になりました。

海老とアサリの冷製バジルソースパスタは、そのうちセブン-イレブンの店頭からは姿を消しますが(なんならもうなくなってると思う)、この絵はずっと残ります。

そう考えると、朝起きたらこの絵があって、寝る前にもこの絵がある生活が、とてもかけがえのないものに思えてきます。

友人が言っていました。

「昔の画家は畑とか田園とか教会とかを描いていたけど、あれはその当時の日常。コンビニ商品を描くのも日常という点では変わらないんだろうね」

たしかにそうかもしれません。

絶景とか美しい風景もいいけど、こういう生活感のある絵を、めちゃくちゃ生活感のある自宅に置くのがいいんだよ、とか思っています。

あの赤いダウンを着る伊藤ゲンさんと。

伊藤ゲンさん
Twitter:https://twitter.com/CYCW1fNWqxJcwTW
Instagram:https://www.instagram.com/p/CqFzg6OSouI/

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