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境界が消えるとき

夏至を迎えたばかりの頃、銀座を歩いた。平日の仕事終わりだった。

18時を過ぎても空が明るい。大きなビジネスバッグを背負っている私を横目に、ブランド物のショッピングバッグを手にした人が行き来する。

昼と夜の境界が、平日と休日の境界が、どこかに消えてしまったみたいだった。

ここはいつもの空間や時間の流れを忘れさせるまちなのかもしれない。そう気付くと、自分も曖昧さに溶け込んでしまいたくなった。

化粧室に入り、鏡を前に姿勢をただす。いつもよりきもち濃いめにリップをひき、髪を結びなおした。日常が非日常に変わる瞬間は、自分でつくれると知った。

20230701 Written by NARUKURU

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