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カンセイの法則に逆らう

私は役所に勤めている。正確には、役所が親会社の大学に勤めている。運営は役所の基準で行われる。

役所×大学という組み合わせは、業務改善にとってはあまりよろしくない組み合わせである。

大学と役所は、毎年同じスケジュールで動く。学年歴があり、予算折衝があり、外部資金の獲得(政府の外郭団体に申請して研究費を得る)などがある。

問題は、これらのイベントが基本的に「年一回」という点である。

そのイベントが「Excel方眼紙に長文を入力して、プリンタで紙に印刷して、ハンコを押して、事務所に手で持っていく」というアナログな方法で運用されていたとしても「ま、年に1回のことだし、いっか」とそれぞれの担当者が考えている。実際に提出する大学教員たちも同じように考えている。

公務員は、「変化が嫌い」で「前例踏襲大好き」である。変えなければ、失敗の確率は下がるし、前任者と同じ方法でやっておけば、少なくとも怒られることはない。変化へのモチベーションは少ない。流れ作業が等速直線運動で行われる。これは「慣性」の法則と呼ばれる。

「年1回」と「役所」が組み合わさると、ほとんどの業務が、「Excel方眼紙紙印刷押印手持参」となる。必然的に教員たちは出勤するたびに「Excel方眼紙紙印刷押印手持参」の儀式を行うことになる。ヘタをすると「Excel方眼紙紙印刷押印手持参」のためにわざわざ電車に取って出勤するというハメになる。まさに「官製」無駄遣いである。

まずい。これは誰かがどこかで止めなければ。今日の「Excel方眼紙紙印刷押印手持参」の儀式を来年に持ち越してはいけない。

思えば、ここ数年の私は、「Excel方眼紙紙印刷押印手持参」との戦いだった。マルに印と書かれている書類のフォーマットからひっそりと押印欄を消してみた。

たいていはばれたが、たまにうまくいくこともあった

自分一人だけcloud signを導入し、提出先に「これで出してもいいですか?」と試しにやってみた。受け取ってくれる部署もあった。

たいていのことは、ハンコはいらないし、紙もいらない。ただ、無くすという「アクション」がめんどくさいだけだ。

無くす、というアクションがめんどくさい人は、提出された書類にクレームをつける、という作業もめんどくさがってくれるかもしれない。「ひょっとしたらこれで決裁通ったらラッキー」と思ってそのまま上に上げてくれるかもしれない。私の最初の「アクション」が等速直線運動で最後まで通るかもしれない。

それで試して、結果として動いた業務がいくつかあった。ひそかにニヤリとした。

私は「カンセイの法則」に逆らった。最初の「きっかけ」をひょっとしたら役所の人も待っているのかもしれない。大上段に構える必要はない。「しれっと」最初のアクションをみんな待っている。

そんな2023年だった。来年もまた「しれっと」業務改善の「きっかけ」を起こし続けよう。

記事中の画像は生成系AIに作成してもらったものです。

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