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【超参考になる】論文チェックリスト

医療論文、読んでますか。

薬に関する情報を得るときに、最も信頼できるものは原著論文などの一次情報です。しかしながら、論文に対して苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

かくいう私も学生時代に論文アレルギーで倒れかけたのであまり読みたくりません。嘘です。フツーに卒論が終わらなくて寝不足だっただけです。

しかし、調剤薬局の現場で論文を読まないというわけにもいきません。Drに服薬情報提供書を提出する際は、関連する論文を添付した方が意見を取り入れてもらいやすいです。それに、普段患者さんから質問を受けるときも、論文を漁ることはあります。

そんな時に拝見したのが、こちらの記事

倉敷中央病院で勤務される先生が書いた記事です。複数病院薬剤部が参加する文献抄読会に参加させてもらい、文献情報の専門的評価法を学んだとのこと。

いいよね!!文献抄読会!!論文は一人で読んでいるときのほうがアレルギーが出やすい(自分調べ)ので、仲間と一緒に読むに限ります。

論文を読む際に参考にしたい!Journal Clubチェックリスト

記事内で取り上げられていた、「Journal Clubチェックリスト」が非常に参考になったので共有したいです。

1. 信頼できる雑誌か?
2. 論文審査のある雑誌か?
3. 背景で、これまでに試験された適切な関連ある研究が検討されているか?
4. 主要目的は簡単に見つかり、かつ明確に述べられているか?
5. 一次エンドポイントはただ1つか?
6. 試験は無作為割り付けされているか?真の無作為化か?
7. 試験が盲検である場合、患者そして/あるいは観察者も盲検化されているか?
8. 採択基準と除外基準は明確かつ妥当か?
9. 採択基準と除外基準をどのように患者集団に適合するか?→研究対象は、患者と同じような患者群か(研究対象患者に、自分の想定している患者は含まれるか)?
10. 試験デザインは明確か?主要目的を得るためのより適切な試験デザインはあるか?
(聖マリアンナ医科大学病院薬剤部による)

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kurachu/202112/573379.html
表1より抜粋

ちょっと勉強不足の自分ではわかりにくい点があったので、調べてみました

1)信頼できる雑誌か?

学術雑誌の信頼性を比較するときは、雑誌のインパクトファクター(IF)を参照することが多いです。雑誌に掲載された論文が、どれくらい他誌に引用されているかを表す指標のこと。

学術雑誌の評価の指標となるインパクトファクターの調べ方

Journal Citation Reports(JCR)が年に1回発表しています。とはいえ、JCRの会員でないと、インパクトファクターを調べることはできません。インパクトファクターを公開している個人ブログなどは見つかります。それに、医学論文のデータベースであるPubMedはサポートされていません。

読もうとしている論文の掲載先が、DOAJ(Directory of Open Access Journals)Web of Science:Master Journal Listなどの信頼性の高いデータベースに収録されているか、Google Scholarの引用件数が多いかどうかで判断することもできます。また、Elsverなどで検索して、直近のインパクトファクターが表示されている場合もあるのでそちらを参照する。

2)論文審査のある雑誌か?

文献中の「PeerReviewed」の有無で判断。もしくは検索設定で、査読付き論文のみ表示して検索すればOKです。

5) 一次エンドポイントはただ1つか?

エンドポイントは、臨床試験において、有効性・安全性を評価するために用いられる指標のこと。

研究で実証できるのは、エンドポイントは主要項目である一次エンドポイントのみです。しかしながら、製薬会社の研究などで自社製品の有効性を強調するために、二次エンドポイントの研究を誇張する場合もあるとのこと。

一次エンドポイントで有意差がない場合(いわゆるネガティブスタディ)、何とか実薬の優位性をこじつけようとして二次エンドポイントの中から少しでも有意差のある部分が誇張されることが多々あるため、情報操作(spin)に気を付けたい

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/noto/201408/537922.html

論文を読んでいると、ついつい有意差がある点ばかりに着目しがちですが、きちんと全体のデータを見て判断したいですね。

論文の情報をきちんと精査できるようになるには、論文を読むしかない。一朝一夕には身につかない事だと思います。

いつかは医療論文翻訳の仕事もやってみたいと思っていたもので、この記事非常に役に立ちました。


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