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本当にたんぱく質は不足しているの?

「プロテイン」やら「たんぱく質がとれる」という触れ込みの食品や飲み物をよく見かけるようになりました。
現代人はたんぱく質が不足しているという言説もときどき耳にします。

本当にたんぱく質は足りていないのでしょうか?
日本人の栄養摂取状況を調べた「国民健康・栄養調査」の最新版(平成30年調査)のデータと、日本人の食事摂取基準(2020年版)を比較してみました。

代表として、20~59歳の女性のデータを掲載します。
まず、たんぱく質の摂取量と必要量を比較します。

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たんぱく質の食事摂取基準には2つの指標が設定されています。
・推定平均必要量:不足の確率が50%となる摂取量
・推奨量:不足のリスクがほぼない摂取量

摂取量を見てみると、平均値はいずれも推奨量を上回っています。
しかし、これだけで日本人は皆十分にたんぱく質を摂取できているとは言えません。
平均より多い人や少ない人がどれだけいるかは、平均値からは分からないからです。

そこで「平均値-標準偏差」の値を計算しました。
この値は、100人を調査した場合の16番目の人の摂取量を表します。
つまり、この摂取量以下である人は全体の16%以下となります。
この値でも、推定平均必要量は上回っています。

このことから、日本人でたんぱく質不足の危険性に晒されている人は多いとは言えないでしょう。

また、たんぱく質はそのものの重量だけでなく、摂取エネルギー(カロリー)の中での割合も大切になってきます。
そこで、こちらも食事摂取基準と比較してみました。

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こちらも、どの年代でも基準内に入っています。

結局、たんぱく質は不足しているの?

上記の結果からは、
「日本人の平均的な食生活をしていれば、たんぱく質が不足することはない」と言えます。
(ハードな運動をしている人は別になると思いますが。アスリートの栄養については詳しくないので分かりません)

しかし、たんぱく質摂取量が不足している人がいないわけではありません。
それでも、初めからプロテイン等に頼るのではなく、食事を基本にすることが大切だと考えます。

なぜなら、この場合、プロテインだけでなく他の栄養素も不足していることが考えられるからです。
まず食事を整えて、その上で必要ならば補うようにしましょう。

出典
・日本人の食事摂取基準(2020年版)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
・平成30年国民健康・栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html

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