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Webサービス立上げの進捗と学び coperiを7ヶ月運営して

こんにちは!オンライン教室開設・運営サービスcoperiを運営するiscream株式会社 代表の成田です。

昨年の8月にcoperiをリリースしてから早くも半年が経ちました。
リリース時に意気込んでnoteを始めたもののその後、殆ど更新しておらず情けない限りです笑

日々、地道にサービス改善を進めていて、ちょうど今月頭にレッスン動画の販売機能を追加し、多角的な教室運営ができるサービスとして着実に進化しています。

リリース後、色んな施策を試行錯誤し、忙しくもエキサイティングな時間を過ごしています。
振り返るとうまくいったものよりもうまくいかなかったものの方が多く、普段割と感情の起伏のないタイプではあるのですが、喜んだり、ヘコんだりといったこともこれまでにない頻度で繰り返しました。

大企業且つ投資のビジネス経験が長い自分にとって、生活者向けのプロダクトを作ってそれを運営するのは初めての経験で、日々多くのことを学びながら過ごしています。
半年たって学びを整理する良いタイミングかなとも思うので、事業の進捗と併せて書き留めたいと思います。

この半年の事業の進捗

まずは、半年のサービスの変化が一目で分かると思うので、リリース時(左)と現在(右)のLPを比較してみます。

パッと見で、機能や顧客の増加により発信できる情報量が増えた点に気が付くと思いますが、大きなコンセプトの違いとして「イラストや抽象的な表現を使った敷居の低さを強調」したものから「機能面を押した便利なツールである点を強調」したものに変わっていることが分かると思います。

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https://coperi.app

この形になるまでにもいくつかのバージョンを経ているのですが、その変更は常に顧客の理解が進んだことを反映したものでした。

今思うとリリース時は、coperiを必要としている真のターゲット顧客が見えていなかったと思います。
誰でも使えることをアピールし広く間口を取ろうとした結果、LPまで来てくれた人も自分が使うべきサービスなのか、何ができるツールなのか分からず、結果的になかなか利用登録してもらえませんでした。

この半年間、注力してきたことは徹底的に顧客を理解しその解像度を高めていくこと、そして、その顧客に喜んでもらえるプロダクトの改善を図っていくことの2点で、ここからはその過程について書いていきます。

この2つの注力点は、スタートアップの教科書的には、PMF(Product Market Fit)を達成するために徹底的に「スケールしないことをする」と言いかえられると思います。

大企業での経験が長く、ビジネススクールのフレームワークを使った考え方が染み付いている自分にとっては、効率を追求する思考パターンをunlearnして実践から得られる気づきを素早く反映させる行動パターンを染み付かせる期間でもありました。

自分に言い聞かせる意味もこめて、この辺りの記事はいつも読み返しています。

後段でcoperiの立上げからとても役立っているSaaS系のツールについても紹介するので、ご興味のある方のご参考になれば幸いです。

顧客理解

coperiの初期の顧客としては、数千人から数万人のフォロワーがいる特定のジャンルに強みを持つマイクロ・インフルエンサーに使ってもらうことを想定していました。

事前に数十人規模のインタビューを実施し、仮説として、マイクロ・インフルエンサーがフォロワーに対してのエンゲージメントツールとして喜んで使ってくれるという仮説を立てました。
作成したページがSNS上で自然拡散されることでcoperiの顧客獲得にも繋がるというシナリオです。

しかしながら、8月にサービスをリリース後、この仮説はあっけなく崩れ去ります。
事前インタビューした人でサービスに興味を示してくれた人も利用登録はするものの、その後、実際に利用してくれない。また、少額で広告を回したりDMで利用の勧誘をするといったことも試しましたが、なかなか利用登録には至らないということが続きました。

手軽に教えて収入も得られるということに興味は持っても「人からお金を貰って教える」ということを普段していない人のハードルは高く、新しい行動を引き起こすほどのユーザーペインではなかったことを改めて突きつけられました。
(インタビューについてもうまくいったこと、いかなかったことあり、その学びも別途まとめたいなと思っています。)

一方で、そんな中でも利用してくれている顧客の使い方を分析し、意見をもらっていくことで、ターゲット顧客の解像度が徐々に高まっていきました。

既に教室を運営している等、オフラインで教えている人の教える場のオンライン化は、昨今の外出しにくい世の中において緊急性の高いニーズであり、利用までの心理的なハードルを超える強いペインであることが見えてきました。

LPを「広く誰でも」という作りから「オンライン教室」というワードともに教室運営のための機能を全面に押し出した作りに変えたのは、この使ってもらえる顧客に確実に刺さるものにしたいという判断でした。

顧客の解像度を高めていくことは、サービス運営者にとって終わりなのない最も重要なポイントだと思うので、引き続き真摯に取り組んでいきます。

顧客理解を進める上での気づき・Tips

・問い合わせ窓口としてLINEが良かった
問い合わせ窓口は、最初は通常のWebフォームのみだったのですが、窓口にLINEも加えることで、カジュアルに問い合わせをしてもらえるようになりました。
LPで何が訴求できていないのか、プロダクトの何が使い難いのか、どんな追加機能を欲しているのかの情報が自然と集まるようになりました。
またチャット形式のため自然と顧客との距離も縮まり、こちらから何かを聞いたり、アナウンスしたりということもし易くなって、サービス改善にとても役立っています。

・コンテンツマーケティングをコツコツやる
思うように顧客獲得が進まない中で、ベンチマークとしている有名なサービスの初期の顧客獲得のための施策を色々と調べました。
その中で殆どのサービスが実施していたのが、自社のサービスのターゲット顧客が読みたくなるような記事を公開し、そこから顧客を獲得していくという、いわゆるコンテンツマーケティングです。
即効性のある施策というよりは検索に引っ掛かるような良記事をアセットとして貯めていくことで長期的に顧客獲得に寄与するという性質のものですが、昨年後半にトライアルで開始し、この3月から本格運用しています。

ちょうど本格運用準備中のSNSの投稿ネタにもなるので、うまく絡めて、やり切っていきたいと思っています。
また、SEOの観点から本当は独自ドメインでのメディア展開としたいのですが、リソースの都合もあり、まずはnoteのcoperi公式アカウント上での記事配信としています。良いタイミングで独自のものに移行していきたい。。

・リスティング広告とSNS広告の使い分け
大きな広告費用をかけて運用していくフェーズではないのですが、少額の広告で市場の反応を見つつ初期顧客も獲得するという意味で、月数万円程度の広告を打っています。
その中でリスティング広告とSNS広告のPros&Consがはっきり分かってきて、効果的に使っていく必要があるなと感じています。
ざっくり言うと、リスティング広告は検索行動をとっている具体的に課題を解決したい人にアプローチできるので、コンバージョン率が高く費用対効果もSNS広告に比べて10倍以上良い結果が出ています。
一方のSNS広告は、広告に対していいね/リツイート/フォローなどのエンゲージメントが得られるため、その人に対してDM等でアプローチすることで、より親密なコミュニケーションが取れる顧客を獲得できるという利点があります。今のフェーズに特に欲しいフィードバックをもらえるロイヤルカスタマーの獲得に寄与する意味で非常に役立っています。
無闇に大きな金額を使うのはNGですが、Pros&Consを理解した上で、効果的に使っていくのはアリだなと考えています。

プロダクト開発

当初の想定は、リリース後も顧客の声を反映しどんどんサービス改善・機能追加して更に顧客を惹きつけていくというサイクルを素早く回していく絵を描いていましたが、実際はリリース後長らくそれができず、やりたいことのリストがどんどん溜まって実現できないという状態が続きました。

早くリリースし顧客の反応を見ながら改善していく前提ではあったのである程度覚悟はしていたものの、リリース後、想定以上にバグの修正や分かり難いUIの改修に追われたことが主な原因です。

私自身がゼロからのプロダクト開発の経験がなかったという点につきるのですが、リリース前に開発チームとの会話で例えば以下のようなエラーの想定の話があっても「まあそう言うことも起こるだろうな」ぐらいにしか考えられておらず、それを修正するための工数のイメージも沸いていませんでした。

・デバイス/OS/ブラウザ及びそれらのバージョンの違いで使っているライブラリがうまく動作しない
・新しい機能のアップデートをかけた際に他の機能が影響を受けてエラーが出る、etc.

また、開発リソースを補完するためにリリース後に業務委託ベースで人員を補強していったのですが、階層ができることで要件定義やコードレビューといった新しく生まれる作業やそれに付随するコミュニケーションコストも増え、いわゆる「人月の神話」に陥り開発スピードが上がらなかったことも大きな悩みでした。

試行錯誤してきた甲斐もあり、漸く最近になって開発プロセスが少しづつ上手く回り出し、効率を落とさずに人員を追加していける体制になってきました。
引き続きベストプラクティスを探っていきたいと思っており、ご経験豊富な方からアドバイスをもらいながら改善していきたいです。

プロダクト開発の中での気づき・Tips

・フロント/バックのバランス
開発人員が増えることに付随した各種コスト増に加えて、スピードが上がらなかった要因として、リソースのアンバランスという点もありました。
機能の改善や追加において、フロントのみやバックのみで完結するタスクというのは殆どなく、少なからずフロント/バックの両方の要素が必要なものばかりなので、リソースが不足している方でタスクがスタックしてしまうと言う状況に陥りました。
今はだいぶ解消していますが、リソースプランニングの段階で最初からもっと意識しておけば良かったなと思っています。
(Reactが得意な方、Rubyが得意な方、どちらも絶賛募集中です!)

・プロセスの確立と見える化
みんなが同じ場所で時間を共有しながら働いている訳ではないリモート且つパートタイムの業務委託も多いチームなので、一定のルールの下で開発状況が見える化されていることはとても重要です。
あのタスクは誰が今作業していてどういう状況なのか、パートタイムのAさんは今月何時間稼働していてどのぐらいの量をこなしているか、来週リリースできるタスクは何か、といったようなことを、いちいち聞かなくても誰でも確認できる状態にしておくことでコミュニケーションコストを下げ、チーム全体のストレスを減らすことができます。
試行錯誤しながらですが、Slackでの作業状況の管理・自動通知や、後段で紹介するTrelloでのタスク管理等で一定の形になってきたとは思いつつ、より良くしていくために常にチームで話しながら進めています。

・バグ修正や障害対応
リリースの前のコードチェックやシステムのエラー通知といったツールは利用しているのですが、やはりバグの修復や細かな改善といったところには相当のリソースを割かれています。
また、それらに起因する障害発生時の顧客への対応も大きなワークロードになります。後ろ向きな作業だけにチームの雰囲気にも影響を与えるため、モメンタムを作っていく上でもうまく対処できるプロセス作りが重要だと考えています。
一朝一夕でベストプラクティスができるものではなく、組織としての日々の経験の積み重ねを地道にプロセスに落とし込んでいくものだと考えていますが、この辺はまだ道半ばで詳しい方がいらっしゃいましたら是非お話伺いたいです。

サービス立上げ・運営に役立っているツール

サービスリリースの前後から様々なツールを利用していますが、ユーザー数も少ないシードステージの小さなチームであれば、ほぼ無料で使えて感動レベルに便利なツールが数多くあり助かっています。

逆に依存しすぎて、課金が必要なフェーズになって違うサービスに移行するという選択肢は取れなくなりそうですが、mailchimpのタグライン「Grow with you business with mailchimp」を見ていると、苦労してきた時に支えてくれたツールなのでむしろお金を払えるフェーズになったら払いたい、という気持ちになるんだろうなと思います。

話はそれますが、こういうツールを使っているとcoperiも顧客に対して同じように思ってもらえるようなサービスになりたいという気持ちになります。

色々あるのですが、特に助かっているサービスを紹介します。
ここで紹介するのは、どちらかというとサービス運営に役立つものですが、プロダクト開発のためのSaaSサービスもたくさん使っているので、それはまた別途、紹介したいと思います。

・Trello

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プロダクトの改善や機能追加のタスクについて、サービス開始当初はGoogle spreadsheetを使ってガントチャートを引いたり、バグリストを作ったりしながら管理していたのですが、開発チームの人数も増えてきたタイミングで看板方式でタスク管理できるTrelloに切り替えました。

使い方としては、以下のような感じです。
・1タスクを1カードとした上で、そのカードに関係する人をタグ付けし、締切があるものについては日付も設定
・開発チーム員は夫々、個人名の付いたカードを入れる箱(Trelloではリストと呼びます)が割り当てられ、自分のリストに入っているカードは作業中のステータスで、作業が終わったら次の担当者のリストに移す
・各カードは最終的にはレビューする人のリストに入りリリースが完了したらその週のリリースのリストに入る
・その他、新しいタスクを放り込むリストやそれを週次で話し合い優先順位付けしたものを格納するリストなどがあり、個人のリストのカードの溜まり具合を見ながら新しいタスクを割り振っていく

ポイントは、全てのタスクの所在が一目で分かり、リリース状況も一覧できることで組織及び個人のパフォーマンスも測れるという点です。

気づいた時にPCでも携帯でも手軽にタスクを追加できるという操作性も気に入っています。おそらくもっと高度な使い方もあるのですが、今のところはこのようなシンプルな使い方でも十分ニーズを満たせています。

・Metabase

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無料で使えるBIツールで、coperiではサービスのデータベースとGoogle Analyticsからのwebページのアクセスデータを流し込んで利用しています。

直感的なUIで、SQLを使わなくても簡単なデータ加工や見栄えの良いグラフもすぐに表示できるので、誰でもそれらしいダッシュボードを作り管理することができます。
また、SQLの操作画面もとても使い勝手が良くプレビューもその場で確認できるので高度なデータ分析をしたいというニーズもしっかりと満たすことができます。

coperiでは主要なKPIを表示すると同時に、顧客や作成されたクラスのリスト、申込の状況などを表示させたダッシュボードを常に眺めながら、指標の確認と顧客の利用状況を把握し、サービスの安定運用と改善に役立てています。

・Notion

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言わずと知れた超絶便利な多機能メモアプリです。作ったメモにURLを当ててwebページとして簡単に公開できることから、アーリーステージのサービスで、利用規約やプライバシーポリシーといったテキストメイン且つ更新手間のあるページにNotionを利用しているのを見かけます。

coperiでは利用登録前に見れるページは全てデザインを入れて作っていますが、利用登録後に見れるマニュアルやQ&AのページにNotionを利用しています。

以下のような点が更新頻度の高いマニュアル・Q&Aページ用途として使い勝手が良く、エンジニアリソースもかけずに済むので助かっています。

・新しい機能を追加した際にメモを書く要領で素早く更新できる
・画像も簡単に差し込める
・メモアプリながら作ったページが自動的にレスポンシブ対応しPCでもスマートフォンでもいい感じのレイアウトに配置される

また、外部サービスを使ってNotionページに独自ドメインを当てつつ静的なページを生成できるといった魅力的な使い方もあります。
実は前述のnoteを使って展開しているコンテンツマーケティングをこれに移行することも検討していたのですが、費用がかかるのと近いうちにNotion自体が独自ドメイン機能をリリースするのでは、という希望的観測もあり保留中としています。爆速で成長しているNotionに期待したいです笑

・mailchimp

最近使い始めたメール配信サービスです。とても使い勝手が良くて、ツイート頻度の低い私も思わず呟いてしまいました。

この半年で顧客獲得のために色々と苦労しながら施策を打ってきたので、新規獲得の大変さは身にしみて感じています。
そのため、非アクティブながら一度は何らかの魅力を感じて利用登録してくれた顧客にきちんと最近の情報を伝えてアクティベイトするというのを丁寧にやった方がいいと考え、メール配信にも最近取り組み始めています。

今のところは大きなリリースがあった時のみの配信としていますが、今後、定期的にNews Letter等も送った方がいいかなと思いつつ、自分自身その手のメールをウザいと感じるタイプなので運用方法を検討中です。
(これも詳しい方いらっしゃれば教えて欲しいです。。)

最後に

試行錯誤しながらコツコツと積み重ねてきた半年間でした。まだまだ小さいチームながら2人でスタートした時から比べるとリソース面でもプロセス面でも整ってきていて、できることが増えワクワクしています。

色々書きましたが、この半年を振り返って一番に思うことはやっぱりサービスを作るというのは最高に楽しく、顧客から喜んで使ってくれている様子やフィードバックをもらうことが何よりも嬉しいです。

基本にして一番大切なことは顧客の声を聞きそれをプロダクトに反映していくということなので、そこは真摯に取り組みつつ、ここからスピードを上げてサービスを伸ばしていきたいと思います!

オンライン教室開設・運営サービスcoperiのHPはこちら

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