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乙武さんの「言語化」がすごすぎた

「迷惑って、そもそも何でしょうね」
乙武さんを囲んだZOOMイベントで、話題になった話です。

乙武さんの答えは、
「誰かの利益を守るために、自分が利益を受け取れない状態」

と即答されていました。

ただ、ここからが乙武さんのすごい所で、すぐに具体例を出してくれました。
(世界90か国を回った乙武さんならではの視点!)

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▼イギリスのロンドンの地下鉄と東京の地下鉄
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イギリスにも、東京の通勤ラッシュのような状態がある。
ただ、東京ほどの込み具合ではない、と。

その理由は、ロンドンの地下鉄では、ホームに入れる人の数を制限しているそうです。

ホームに入る前にロープがあって、ある一定の人数より多くなると、ロープが張られるそうです。
(だから、物理的に駅のホームに入ることができない)

その結果、人は多いけど、東京の朝のラッシュほどの混雑はなく、車いすでもぎりぎり電車に乗ることができたそうです。

(東京の朝の通勤ラッシュでは、車いすの方は乗れそうにない。。)

この方法により、みんなが15分ぐらい駅のホームの前で待つ、ということが起きるそうな。

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▼東京の朝の通勤ラッシュで同じことをすると
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「ロープ作戦、いいじゃないか」ということで同じことを東京の駅ですると、

「なんで、車いすや子ども連れの人のために、俺たちの待ち時間を増やすんだ!」と反論がきそうだ、と。

(たしかに、そんな声が聞こえてきそう)


で、
乙武さんは言うわけです。

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▼これが、迷惑の考え方だ、と。
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車いすの人や子ども連れの人(マイノリティーの人)を乗れなくすることによって、待ち時間なく、駅のホームに入ることができるようにする。

もし、車いすの人のようなマイノリティーの人たちが朝の通勤ラッシュの時間帯に電車に乗れるようにするためには、イギリスのロンドンの地下鉄のようにホームに入れる人の人数を制限する。

そうすることによって、車いすの人のようなマイノリティーの方でも朝の時間帯に電車に乗れるようにする。

それは、自分の通勤時間が増える(自分が不利益を受ける)からいやだ。

つまり、このような「マイノリティーの方の利益を確保するために、自分が不利益をこうむる」この状態を迷惑、ととらえる人がいる。

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▼「誰かの利益を守るために、自分が利益を受け取れない状態」=迷惑
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今回の会では、国によって迷惑の概念って変わるよね、という話から、

自分がマイノリティー側にいるのか、マジョリティー側にいるかによって、迷惑の概念も変わるよね、という話になりました。

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▼もしわが子が、マイノリティー側になったら?
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僕には来年、小学校に上がる息子がいます。

正直、彼にとって小学校の学び方にうまく適応できるか、うまく折り合いをつけていけるか、わかりません。

(一日中、イスに座っているとか、黒板を中心とした一斉指導の授業スタイルとか、時間割が決まっていることとか)

もしかしたら、ほかの子どもたちにとっては、「許容できる範囲」のことかもしれませんが、息子にとっては、許容できる範囲を超えていることかもしれません。

そうなると、多くの子どもたちがまじめに座って授業を受けている中では、わが子はきちんとマイノリティ(少数派)になります。

そんなわが子に対し、「みんなも頑張っているから、みんなと同じようにやろう」と父親の立場からいうのは抵抗があるなぁと思います。

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▼立場が変わると
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ただ、僕には教員である、という立場もあるわけで、、、そうなってくると、

「みんなと同じように頑張ろう!配慮はするからね。」みたいなことを言ったりするわけです。

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▼自分がマイノリティーになっても快適な学校、社会
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今の自分の状態では、困らない学校のシステムや社会の状況でも、自分が一転してマイノリティーになったら困る、みたいなことは普通にありそうです。

(今の学校のシステムにわが子が適応できないと、なんとかシステムをかえることって、できないのかな、とか考えそう。)


なので、自分がいつマイノリティーになっても困らないような学校、社会を作ってほいた方が、結局は自分が得をするよね、という話だと思います。

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▼乙武さんの話から学ぶこと
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乙武さんは人一倍、マイノリティーとの向き合い方を考えてこられたんだろうなぁと思います。

僕も、一年間の育休を取ったことでマイノリティーを経験しました。

電車に乗るときも、子どもを連れているとマイノリティーになります。

(大きな声を出さないようにとか、走らないように、とか配慮が必要になる、という意味で。一人で乗っているサラリーマンはそんなこと、考える必要がないですよね。)

あと、
仕事を一年間、中断すると、キャリアが断絶される。(育休の前後は、どうしても大切な仕事は任せにくい、とか)

自分がいったん、マイノリティーになったことで、マジョリティー(例えば、時間に制限なく、キャリアが途切れることなく働ける状況)に戻ったとしても、

そうではない人の気持ちを考えられるようになりました。(前よりは、という意味で)

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▼まとめ
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こんな感じで、乙武さんの話を聞いて、自分の中で考えていたことがすっきり言語化できたように思います。

そんな乙武さんがnoteで発信されているのを知ったので、シェアさせていただこうと思います。

それにしても、乙武さんの言語化の力(具体例と抽象的なことばを行ったり来たりしている力)は、すさまじいなぁと改めて感じさせられました。






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