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第一三共くすりミュージアム(東京都中央区・新日本橋駅)

中央区ではいくつかの企業で展示館を連動する活動を行なっている。製薬会社である第一三共株式会社もその一つで、本社オフィスビルの中にミュージアムを作っており見学することができる。

1階の受付を済ませたあとは映像でくすりミュージアムに対しての概要説明を受けた後は2階へ上がり、そこがメインのミュージアムとなる。2階でまずコイン(というよりもコースター大のパネル)を渡される。このミュージアムはただ展示されている資料を見るというのではなく、このコインを使用してそれぞれのブースにある資料で学びながらクイズなどの体験型の展示が主要となっている。もちろん大人向けの展示内容ではあるものの、なるべく全年齢層を対象にしているような趣が見られる。企業博物館にも関わらず土日も開館しているのはそういう意図もあるのだろう。

つーわけでゆるキャラもいる

展示室内には映像コーナーがあり薬の歴史について展示している。紀元前400年ごろにヒポクラテスによって開かれた医療。西暦77年に最初の医学書である『マテリアメディカ』、西暦100年に薬物書として『神農本草経』が生まれたのが医療に関する書籍の始まりである。その後は16世紀にジェンナーによる天然痘ワクチン、17世紀にケシの実からモルヒネの単離、パスツールによるワクチン予防接種の一般化、コッホによる結核菌・コレラ菌の発見などの革命的な事件があり、19世紀に至って日本でも様々な発見が行われるようになる。

1890年:北里柴三郎による破傷風ジフテリアの発見
1894年:高峰譲吉によるタカジアスターゼの発見
1900年:高峰譲吉によるアドレナリンの抽出
1910年:鈴木梅太郎によるビタミンB1の発見
1915年:慶松勝左衛門によるアーセミンの発売

黎明期にはこういった先人の働きがあって現在に至っている。このうち高峰譲吉が三共、慶松勝左衛門が第一製薬の設立に関わっている。のちにこの二つが合併して現在の第一三共へと至っている。

高峰譲吉コーナーもある

映像では現在の医療にまだ満たされていない医療ニーズ、アンメット・メディカル・ニーズについての説明がされる。薬ができるには9-17年という長いスパンが必要で、最も求められているのは「がんの薬」だそう。毎日のように外部からの刺激によって生まれるがん細胞は基本的に免疫細胞が退治しているが、何らかの原因で退治しきれなくなって増殖するという。従来の薬は他の細胞も攻撃してしまうから副作用も出ていたけれど、分子標的薬という、人工的な抗体を作る薬が現在は求められており、ピンポイントで攻撃することによって副作用が少なくて済むのだという。

薬の成分抽出や調合には気の遠くなるような組み合わせが行われる。植物や動物、鉱石などもその成分だし尿なんかもその成分として扱われる。研究所にはこうした成分を化合したライブラリーがあり、昼夜ここで新薬の開発が行われている。薬の種、薬の素、薬の卵、といった工程を経た後に三段階の臨床で初めて承認されるという極めて長い工程のもとに薬が生まれているわけである。尚、こういった子供向けの展示があるミュージアムには珍しく内部はほぼ撮影できない。トイレはウォシュレット式。

つーわけで外観


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