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新宿歴史博物館(東京都新宿区・四ツ谷駅)

四ツ谷から少し歩いた場所にあるのが新宿歴史博物館。四ツ谷にはほとんど行ったことがなく不案内で迷いながら歩く。四ツ谷口を出て、ショッピングモールのコモレ四ツ谷の横にある三栄通りをひたすら直進する。やがて左手に公園が見えてきたら案内板が出てくるので右折。防衛省の鉄塔が眼前に広がる細い道を進めばやがて歴史博物館へたどり着く。

入り口から直進すれば受付がある。1階は受付とミュージアムショップという構成で、階段を降りた地下1階が展示室となる。展示室は常設展と企画展とに分かれている。今回の企画展は路面電車と新宿風景と称した路面電車に関する展示ということで、電車の愛好家が意外と多い。企画展のみだと無料というのもあるのかもしれない。かつて路面電車は東京都内を縦横無尽に運行していた生活の要だったのが、関東大震災を経て車を振興する動きの中で徐々に衰退したのだという。都内では今や都電荒川線(さくらトラム)くらいしか残っていないのが寂しいところ。撮影はできない。かつての停車場の写真などが展示されている。

さて常設展はというと、新宿が古代〜中世〜近世〜近代〜現代といった変遷のなかで新宿はどうなっていったのか、という編年体の展示になっている。撮影は一部のみ可能となっている。一つ一つのエリア、計10枚ほどの解説シートが配布されており、展示と合わせて見ることでより深く知ることができるようになっている。

新宿の郷土歴史を知ってどうするんだ、という疑問はさておき、もちろん新宿で出土している古代の骨などの展示もある。かつての宿場町だった内藤新宿の模型もある。内藤新宿。徳川家の家臣だった内藤氏の屋敷があったことから名付けられているらしい。ちなみに新宿御苑の土地も内藤氏による敷地だったという。徳川家というと井伊とか本多とかのイメージが強かったのだけれど、どうしてなかなか内藤もやるものである。模型展示としては他に商家の店蔵があり中に入れる。その他にもかつての新宿一帯を描いた絵などがあり、現在の姿と比較できたりする。

つづいては近代文学についてのコーナー。かつては夏目漱石や永井荷風、小泉八雲などがここに居を構えていたという。夏目漱石に関しては早稲田のそばに記念館がある。やがて彼ら文豪の次の世代として林芙美子をはじめとした文士が集まり、新宿にも文士村が形成されたという。

一つの地域に文士・芸術家が移り住んできて形成された文士村。都内では田端と大森・馬込が現在でも記念館などを設けて遺構が残されているが、新宿ではその名残は林芙美子記念館を残すのみとなってしまった。しかしここ新宿郷土博物館においてもその展示がされている。林芙美子の他にも會津八一が残した手紙などある。またしても八一。ここ近日の八一遭遇率が高くて驚く。そんなに有名な人だったのかごめんなさい八一。

次には市電の原寸大展示があり、時代は昭和、戦時中から戦後へ。昭和初期の文化住宅の原寸大も展示されている。洋食屋なども増えて少しずつ新宿が盛り場となって行く。驚いたのはムーラン・ルージュ新宿座という劇場があったということ。フランスにあるのとおなじく赤い風車が回る劇場だったという。

最後のコーナーでは現代の姿とかつての戦後の風景との変遷を写真で展示して終了。ちなみに地下1階ではさくらトラムにちなんだ展示と上映を開催している。ドアーから外へ出ればサンクンガーデンもあるのでくつろげるスペースとなっている。2階には資料閲覧室とちょっとした休憩スペース、事務所と講堂がある。トイレはウォシュレット式。


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