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セイコーミュージアム(東京都中央区・銀座駅)

銀座を象徴する建物としてよく採り上げられている和光ビルの時計台はセイコーの前身である服部時計店から続いている歴史ある場所である。

そこから歩いてすぐの場所にあるのが、セイコーの時計を中心とした博物館であるセイコーミュージアム。

関東大震災、太平洋戦争を生き抜いてきた国内随一の時計のメーカーであるセイコーの歴史をはじめ、日本における時計の歴史も展示しており、歴史的価値の高いミュージアムとなっている。

展示室は2、3、4、5階と地下1階という5つのフロアに分かれており、それぞれのフロアは広大というわけではないものの、展示数がとても多いので、見学者は本腰を入れて臨みたい。密集を避けるため予約制になっており、入ってからはそれぞれのペースで観ることになるため、フロアに他に誰もいない、という状況も生まれるかもしれない。

高級店の佇まい

受付で予約番号を告げるとパンフレットと、来館記念のバッヂがもらえる。これはささやかに嬉しい。

特に見学フロアの順番はないが、正面の階段を上れるようならそのまま2階へ上がり、あとはエレベータで1フロアずつ上がって最後に地下1階へ行くというのが理想的。どのフロアも基本的にはエレベータを使って行き来することになる。

2階への階段を上がってから時計回りに進めば(時計だけに)、まずはセイコーの歴史をスムーズに知ることができる。もともとは創業者である服部金太郎が生まれの地である銀座で明治初期に服部時計店を創業したことに始まる。当初は時計の仕入れと修理を主におこなっており、外国商館から懐中時計を仕入れていた。そこから自社で製造することを考え、職人の吉川鶴彦を技師長に迎えて「精工舎」を設立した。銀座の時計塔もこのあたりで完成している(現在は二代目)。このフロアでは時計の分解部品や、てんわ穴明けねじ切自動機の実演など、見て楽しめる展示が多くある。

2階の展示室 手前のは動きます

3階では時計の歴史ということで、国内外で使われてきた時計の歴史を展示している。日時計、水時計、線香を使った燃焼時計といったものから、機械式の時計として錘や振り子を使った時計といったものがある。からくり式の懐中時計や尺時計といったものも惜しみなく展示されている。いわゆる大名時計もある。大名時計博物館よりも数は少ないものの、こちらは撮影もできる。大名時計博物館では実演もされているため一長一短、両方とも味わえれば補完できるかもしれない。

3界の展示室 巨大な大名時計も

4階はセイコーの作ってきた時計の展示。交流式の電気掛時計(補助ぜんまい付きで停電でも止まらない)や視覚障碍を持つ人に配慮した時計(指で時計の針を触って時刻を読み取る)、精度への挑戦に挑んだマーベルやクラウン・クロノスといった時計、国際的な精度コンクールであるニューシャテル天文台コンクールに出展した時計などを展示している。トイレは各フロアにあるが、男性用はこのフロアに男女共用のウォシュレット式のものがある。

4階の展示室 セイコー時計の歴史

5階ではデザインに注視したセイコーの時計が展示されている。44GSという独特のデザインや、時刻とストップウォッチ機能などがひと目で確認できるキネティッククロノグラフ、時間とともに鋼球が流れて視覚でも楽しめるデコール悠久、スケルトン式で歯車などの動きが見えるクレドールスケルトンなど、見た目で楽しめる逸品が多くある。動画でもその製造工程を観ることができる。

5階の展示室 左のがデコール悠久 動きます

地下1階ではオリンピックやスポーツ大会で使われるタイムウォッチ(山縣選手の日本記録を表示したのもセイコー製)や陸海空の極地や宇宙遊泳(船外活動)で使われるような時計が紹介されており、世界中に浸透しているということがわかる。和光ビルに使われている時計と同じ大きさの時計もある。すべてを観れば60分、じっくり観れば1時間半から2時間くらいの時間が必要な博物館である。これだけの内容で無料というのもすごい。

地下の展示室 和光ビルのと原寸大


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