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聖徳記念絵画館(東京都港区・外苑前駅)

普段あまり気にしたことは無かったけれど、明治神宮は明治天皇の偉業を讃え祭神として祀った神社で、明治神宮外苑とは代々木公園に隣接する「内苑」に合わせる形で練兵場の跡地を整備して作られた施設である。銀杏並木が有名なスポットにもなっている。
聖徳記念絵画館はその神宮外苑のシンボルとも言える中央のドームから広がる両翼が印象的な建物で、国の重要文化財にも指定されており建設から90年以上の長きに渡り神宮外苑の中心に位置している。

神宮外苑のコンセプトと同様、明治天皇とその皇后である昭憲皇太后を顕彰する目的がメインとなっているため、そこに展示されている絵画は全て夫妻を中心とした題材になっている。中央ホールから向かって右手が前半生である日本画、左手が後半生である洋画で構成されているのが特徴で、右手から順路通りに進んで行くと明治天皇の生誕から没年までが一通りわかるような仕様になっている。

最初期の美術館建築だそう

日本画では岡田三郎助、山口蓬春、前田青頓、堂本印象、鏑木清方、洋画では金山平三、川村清雄、山本鼎、鹿子木孟郎、中村不折、安田稔、藤島武二、和田三造らがそれぞれ名家から依頼されて描いた絵画が揃っている。基本的に展示入れ替えはないため合わせて80枚の巨大な壁画はいつでも見られる。空調はサーキュレーターで賄っており夏場は少し暑いかもしれない。

内装はとても鮮やか

キャプションもおそらく建設当初のままで手書きで残されており歴史が感じられる。それぞれ両翼は奥まで進むとさらに広がっており、見た目よりも広い。実際に一つ一つの作品をキャプションを見ながら鑑賞して行けば最低でも1時間以上は確保する必要がある。いずれも明治天皇のあまり知られていない業績を知る参考にはなるだろうか。

入口のステンドグラスも素敵ね

明治天皇はその就任以来、全国いろいろな場所へ行幸したそうで、個人的に印象的だったのは水戸徳川家に行幸した時に初めて木村屋のあんぱんを食べたことから、4/4があんぱんの日となったというエピソードについて。その際に木村屋が出したあんぱんは吉野桜の塩漬けを取り寄せてあんぱんに埋め込んだものだったそうで、そこから木村屋のあんぱんは塩漬けがへそ出しされた「桜あんぱん」が出るようになったという。

中央ホールの奥には明治天皇の愛馬だった金華山号の剥製が残されている。大理石がふんだんに使われた館内には所々に化石の紋様がそのまま残されており、入口からのみ進める地下階への階段の途中にもいくつかあって探してみるのも楽しいかもしれない。地下階には飲料水の自動販売機とトイレのみ。トイレはウォシュレット式。

地下階 階段前のホール 誰もいない


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