見出し画像

東京建築祭(東京都千代田区他)

東京都内、特に東京駅の周辺にある歴史的な建造物のうち、普段は一般に公開されていない建物を特別に公開する東京建築祭というイベントが開催されるということで、対象となっている建物のうち、これまでに未訪問だった場所を中心に巡ることに。知る人ぞ知るイベントとしてチェックしていたのが、直前にメディアで紹介されたことによって注目度は急上昇。なにしろ初回だったというのもあり、どの施設も入場待ちの長蛇の列が発生し、運営側も手探りだった様子が窺える。

東京建築際で訪れたのは7(+1)箇所ほど。他の建物も可能な限り行ってみたい場所はあったものの、「レアな施設を見る楽しみ」と「行列に1時間ならぶ苦痛」とを天秤にかけ、わざわざ疲れに行くのは元々の本意ではないので途中で切り替え。特別公開でなくても調べさえすれば開館している施設もいくつかあるため、そこは後日に改めて行くということにして、結果それほどストレスはなく見学できたのは良かったかもしれない。もちろん行けなかった場所もあるので次回に期待したいところ。

天井に映る影の美しさ

・堀ビル(東京都港区・新橋駅)
外堀通り沿いの角地にある西洋金物(錠前や建具金物)を中心に展開している堀商店の運営する堀ビル。関東大震災で崩壊した木造建築の後を受けて昭和7年に再建された鉄筋コンクリートの4階建ての建物。小林正紹(聖徳記念絵画館の原案を設計)と公保敏雄という兄弟によって共同設計された。鍵と錠をモチーフにした外壁レリーフなどが特徴的である。今回のイベントでは1階のショールーム部分を開放。朝イチで訪れたものの行列に巻き込まれる羽目に。この時から嫌な予感はしていた。トイレはウォシュレット式。

堀ビル
壁は往時をイメージした映像が流れる

・岡田ビル(東京都千代田区・神田駅)
神田錦町にある岡田ビルは築50年以上を誇る鉄筋コンクリート造のオフィスビルである。当然ながら老朽化が危惧されたものの再生計画として減築という方法で風や光の通り道を設けるかたちで避難経路などを確保する改修がされて現在に至っている。吹き抜けになっている階段が印象的な造りになっている。1階ではカフェ、2階ではラウンジスペースが確保されており、また階段で屋上まで上がることもできる。トイレはウォシュレット式。

岡田ビル
吹き抜けがクールすぎる

・神田ポートビル(東京都千代田区・神保町駅)
いくつかのテナントが入っている神田ポートビルもまた築60年を数える建物である。印刷会社の旧社屋をリノベーションするかたちで色々なテナントによる情報発信をしている。入口すぐ右手には地下階へと降りる階段がある。地下階にはサウナ施設がある。アーティストによる作品も展示されている。また1階の奥には畳敷の和室も用意されている。建物の裏手には何のためにあるのかわからないトマソン的建築の窓もある。トイレはウォシュレット式。

神田ポートビル
地下階から地上を見上げる

 ・安井建築設計事務所(東京都千代田区・小川町駅)
建築事務所に訪れる機会はなかなか少なく珍しいものといえる。建築事務所である安井建築設計事務所では美土代クリエイティブ特区と題し、1階の活動が2ー3階までひとつながりに連続する効果を狙ったオフィスビルとなっている。開放的な吹き抜け階段が印象的。ところどころにクイズ形式で学べる展示方法も考えられており、建築に興味がなくても、いや興味があればより一層の対策を考えておく。トイレはウォシュレット式。 

安井建築事務所
モデルルームの様なカウンターは会議スペース

・丸石ビルディング(東京都千代田区・神田駅)
中世ヨーロッパの雰囲気がイメージされるロマネスク様式のビルとして建築家の山下寿郎によって設計され、有形文化財に登録されている丸石ビルディング。現役のオフィスビルのためこちらも普段はなかなか入ることができないものの、今回のイベントでエレベータホールのみ特別に公開。とはいえ内部は撮影もできないため外観から眺める人たちが多い。トイレはなし。

丸石ビルディング
正面は格好いいと言わざるを得ない

・新東京ビル(東京都千代田区・東京駅)
東京駅からすぐ目の前にある新東京ビルは開業から60年ちかくの歴史をもつオフィスビルである。なんといっても1階のホールにあるモザイク画や幾何学模様の照明が印象的。以前にこちらは丸の内フォトサロンで訪れたことがあったため、そこまでレア感は感じられなかったものの、前回の訪問時には貸切状態だった丸の内フォトサロンに人が多く集まっている様子は感慨深いものがある。トイレはウォシュレット式。

新東京ビル
2階はフォトギャラリー 普段まったく人がいないのでやや圧巻

・国際ビル(東京都千代田区・日比谷駅)
丸の内には多くのオフィスビルが並んでいるが、こちらにある国際ビルも開業から60年以上の歴史を持つオフィスビルである。帝国劇場と一体になっており、帝国劇場側は帝劇ビルという名称で呼ばれることもある。国際は「こくさい」と読むが、「くにぎわ」と読むことも可能で、その相性で呼ばれることもあった。いわゆる普通のオフィスビルで、2階部分まで上ることができる。地下階につながる階段も綺麗な二層が印象的。谷口吉郎による設計である。建物の老朽化により数年後に休館する予定。トイレはウォシュレット式。

国際ビル
踊り場のタイルが魅力的

・MUSEE GINZA_KawasakiBrandDesign(東京都中央区・宝町駅)
旧宮脇ビルディングは東京建築祭でも長蛇の列ができた建物の一つ。実はここに入っているギャラリーのMUSEE GINZA_KawasakiBrandDesignは期間ごとに展示会を開催しており、別に建築祭の期間でなくても入れる。というわけで東京建築祭の混雑を避け、展示会の期間を調べて独自で訪問することに。素晴らしいことに行列がないどころか貸切状態である。建築祭で開催されていた企画展を引き続き実施。開館時間は短いのでそこだけ気を付ける必要がある。トイレはなし。

旧宮脇ビルディング
はい貸切状態でした



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?