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中川船番所資料館(東京都江東区・東大島駅)

全くもって謎の資料館である。ぐるっとパスの消化という、もはや目的と手段が逆転した中で訪れた場所。逆に言えばここで対象施設となっていなければ存在すら知らないまま終わったかもしれないので、ある意味ではとても貴重な体験である。

みんな注目の中川船番所

東京都内には多くの川が流れている。その中でも東京湾に注ぐ三つの大きな川として隅田川、荒川、江戸川がある。東京駅に近い順番で並べるとそんな感じになるが、荒川と江戸川の間にありながら、途中からぐにゃぐにゃと湾曲をしているのが件の中川である。旧江戸川や荒川に合流したりしてよくわからないばかりか、荒川を横断してまた荒川へ注ぐ、という謎のムーブをかましている。そのあたりの説明はボランティアスタッフの方に尋ねてみたけれどよくわからなかった。とにかく、かつて中川と呼ばれていた現在は旧中川と呼ばれる川、そのすぐ横にあるのが船番所資料館である。

船番所とは川における関所のようなもので、ここを介して江戸へ出入りするものを厳しく取り締まったのだという。もともとは隅田川のあたりに船番所があったそうだけれど、明暦の大火以降に船の流入が拡大したことに合わせて中川に船番所を設けたことが始まりとされる。利根川の流路変更によって東回り航路を使用する際に重要視されたという。

1、2、参勤交代、江戸江戸

館内は3階建てになっており、3階には船番所のジオラマが展示されている。この感じは規模は小さいながらも深川江戸資料館を彷彿とさせる。時間によって天候が変わる演出をしているところも似ている。

おまえが舵を取れ

展示室内では江戸における船輸送のあらましや重要性、それにおける船番所の役割といった説明がなされている。なぜかわからないが釣竿の展示もある。また展望室があり、そこからかつて中川と呼ばれていた現在は旧中川を眺めることができる。

手前が旧中川で奥の土手を越えると荒川がある

2階では深川近辺でのかつての暮らしぶり(昭和を中心)などの展示もありつつ、企画展としてこの地における水害の展示がされている。隅田川と荒川(と中川)によって水害の被害が甚大だったこのエリア。海抜0メートル地帯というのもあって、一度おおきな水害が起こると町が水浸しになるという大災害に見舞われてきた。そこで人工の川や水門を設けて大きな被害が起きないようにと戦ってきた歴史がある。数年前に東京を襲った豪雨のときも、氾濫の直前にまで陥るという危機になりながら、水門の調整によって事なきを得た、という話があった。トイレは洋式。

とても静謐な場所で独占できます


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