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くにたち郷土文化館(東京都国立市・矢川駅)

東京都内23区に飽き足らず、いよいよ市町村の郷土博物館にまで手を伸ばし始めてしまい際限がなくなりつつある最近、多摩エリアへ赴く機会があったので国立市のくにたち郷土文化館を訪問。矢川駅から15分ほど歩いた場所にある長閑な博物館ながら、ガラス張りの入り口といいコロシアム状の庭園といい力を入れているのがわかる。

こちらの目玉はなんといっても石棒。しれっと重要文化財である。入口のガラス張りになっているアプローチでは床にこの発掘時の写真が掲載されている他、地下にある展示室には実物が展示されている。長さ1メートルを超え、重さは20キロ以上。長くて太くて固い。これだけの大きさだと破損した状態などで発見されることが多いものの、こちらはほぼ完全体で発掘されたという理想的な石棒である。それぞれ先端が異なる形状なのもまた極上である。

入口からのアプローチが印象的

もちろん石棒の他にも土器や板碑など、郷土博物館のメインともいえる展示品も列挙されている。中でも市の指定文化財にもなっている顔面把手付土器は可愛さと憎たらしさの両方を併せ持ったインパクトのある動物らしき生き物を設えてあり印象深い。しかし展示室の半分ちかくで石棒についての解説が費やされているあたり、この博物館の力の入れようがわかるというもの。もう半分では地形的に甲州街道の影響を受けた国立市エリア周辺の近世以降の文化も紹介している。谷保天満宮や青柳稲荷神社の祭礼に使用される祭具(獅子頭や神輿など)が紹介されており、この地域では祭礼が生活の中に根強く残っていることが示唆されている。

なんという理想的な形

トイレは洋式。屋外の歴史庭園では柄鏡形敷石住居跡の復元展示や、ぶどうの栽培ガーデンがあったりと意欲的だが、駅から離れている土地柄やはり見学者は少なめな模様。それでも地域密着型の博物館を目指しており、小学生が発見した昆虫についてのエピソードを載せたり、参加型のイベントやフィールドワークに力を入れている様子が見てとれる。

コロシアム的な形状のガーデン

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