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長谷川町子美術館/記念館(東京都世田谷区・桜新町駅)

衝撃的なニュースが一つある。桜新町駅の長谷川町子美術館へ向かう出口をすぐ出たところにあるサザエさん像。サザエさん一家がそれぞれ微笑ましく立っている。

波平のアレが無い。

たしか前回おとずれた時は波平の頭頂部には明らかに異質ではあるけれども1本が立っていた。にも関わらず今回は「無い」のである。皆無。ゼロ。消滅。ナッシング。アイデンティティの喪失。嗚呼。どうか心ある人は彼に返してやってほしい。

気を取り直して長谷川町子美術館では「京を彩る舞妓たち」と称して舞妓を中心とした作品の展示を行っている。小松崎邦雄弦田英太郎といった舞妓をモデルにした絵画のほか、中には加山又造安井曽太郎なんて作家の作品まで揃えているというのだから驚いてしまう。収蔵品コレクションの幅広さ。個人的に好みである人間国宝の奥山峰石による鍛金も展示されていて至福。1階の作品では小松崎邦雄『蝶の帯』と弦田英太郎の『黒髪』がとにかく色っぽい。
2階では同じく弦田英太郎の『ひとりあやとり』『仲よし』などに見られる幼さをよく見ているなあ、とつい感心してしまう。なお2階のサザエさんコーナーでは禁酒・禁煙についての話が放送されており、波平の日々の晩酌がビール3杯に制限されていた。充分じゃねえか我慢しろ。

なに呑気に笑とんねん

道路を挟んだ長谷川町子記念館では「町子かぶき迷作集」という企画展が2階で開催されている。子供の頃から親の影響で歌舞伎が大好きだったという長谷川町子、毎月でも見に行くほどの歌舞伎通で、それもあって雑誌で歌舞伎をテーマにした漫画を発表していたという。歌舞伎の演目をアレンジしたもので、実際の本筋から大きく外れたものも多く、どちらかというとコメディタッチに話が展開して行く。すでに国民的な漫画家となっていた長谷川節というか、中にはサザエさんが登場する話もあったりして、読んでいて結構おもしろい。1階の常設展と2階の常設展示室はほぼ貸切状態で悪くない。トイレは安定のウォシュレット式。

1階の常設展示室はマンガ読み放題


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