昭和レトロ商品博物館&昭和幻燈館(東京都青梅市・青梅駅)
・昭和レトロ商品博物館
青梅駅の周辺は昭和レトロを推している。駅の通路や街並みに映画の絵看板が並びタイムスリップしたような感覚になる。裏道にも猫を模した映画の看板があったり、散歩するだけでも楽しい。
特に旧青梅街道沿いにはそんな昭和レトロを体現する博物館が2つある。昭和レトロ商品博物館と昭和幻燈館。せっかく青梅に来たなら両方とも訪れてみるのがおすすめ。
まずは昭和レトロ商品博物館。外観から既にレトロの雰囲気に溢れている。館内に足を踏み入れれば期待を上回るレトロ商品の数々に目を奪われること間違いない。入口横のガラスケースから既に空き缶、雑誌、カメラ、お菓子の包装紙などのレトログッズがお出迎え。天井にはレトロな映画看板も並んでいる。
今ではほとんど見られることの無くなってしまった駄菓子屋の様子(陳列されているかつての商品の数の多さ!)だったり、文房具、薬、おもちゃ、日用品などの大量の商品が並べられている。訪れた時点で既に幅広い世代の客層がきていて、年配であれば懐かしく、若年であれば見たことない、みたいな声が色んなところから聞こえてくる。「記憶の抽斗」というキャッチフレーズの名は伊達じゃなくて、訪れた人みんながどこか「ノスタルジック」な気持ちになるような数々。今のようなスタイリッシュさとはまた違ったデザインのパッケージだったり、安全面より面白さ優先のおもちゃだったり、おおらかな時代だったことを感じられる。
新聞社とか博物館で稀にある自分の生まれた日の新聞を発行してくれる販売機なんかもある。他にも、紙芝居屋の自転車や、コカコーラに特化した展示ケース、たばこのデザインを取り揃えたケース、変わったところでは雑誌、包装紙、便箋などのファイリングなどもあって、それを見ているだけでも時間を忘れてしまう。
傾斜の半端ない階段を上った2階は畳敷の和室になっている。1階のバラエティに富んだ展示とは違い、空調とか関係なく一気にひんやりとした空気に。それもそのはず、こちらでは打って変わって雪女伝説についての紹介をしている。昔話でよく知られる雪女、雪国のイメージが強い伝承だけれど、小泉八雲が紹介している雪女の舞台は実は青梅。こちらは八雲自身も記載しており、それを記念して市内には雪女の碑も建てられている。
青梅の町じゅうに飾られているレトロな映画看板は、青梅出身で最後の映画看板師である久保板観によるところが大きい。館内には氏の映画看板が多く飾られており、ゆっくりと足を止めながら今では見られなくなってしまった絶妙なタッチの手書き映画看板を眺めてしばらく時のゆるやかな流れに浸ってみる。トイレは屋外にあって個室ウォシュレット式。
・昭和幻燈館(東京都青梅市・青梅駅)
昭和レトロ商品博物館と並んで青梅のレトロを体現しているのが昭和幻燈館。墨絵作家の有田ひろみとその母であるぬいぐるみ作家のちゃぼによるユニットQ工房の作品を中心に、青梅猫町商店街として展示をおこなっている。
館内へ足を踏み入れば古き良き昭和へと一気にタイムスリップ。まさに幻燈と呼ぶにふさわしい雰囲気を醸し出している。
カーテンをくぐれば幻想的な空間が広がっていて、最初に目に飛び込んでくるのは猫町キネマ通りの看板。控えめの照明にレトロな雰囲気で心地良い。開館後すぐということもあって誰もおらず独占状態。猫町、というタイトルの通り猫をテーマにしており、萩原朔太郎『猫町』に描かれるような幻想的な町を思わせる展示の数々である。
なつかしのホーロー看板なんかもある。全て猫。訪れる人もまた人生の迷宮にまよいこんだ猫なのです。萩原朔太郎も言っていた。たぶん。壁には昭和の遊びシリーズが描かれている。ベーゴマや紙芝居、福笑いなど今では見かけなくなった遊びを猫たちが再現しているのが可愛らしい。
注目したいのはジオラマ作家の山本高樹による青梅宿幻想のジオラマ。古き良き時代の青梅の町並みを再現した精巧な模型にうっとりとする。いつまでも眺めたくなる素敵な作品がいくつもあり、これだけでも時間を費やせそう。
注目なのはトイレ。これまた昭和である。段差があってそこに便座が設置されているという、昭和の戸建に稀にあったようなもの。洋式のようでもあり和式のようでもあり、どちらの世代にも配慮できる作りである。
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