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中野区立歴史民俗資料館(東京都中野区・沼袋駅)

東京23区の郷土博物館、21館目となるのは中野区。こちらの最寄駅は西武新宿線の沼袋駅になるだろうか。都立大江戸線の新江古田駅と南北で挟まれた絶妙な位置にあり、どちらの駅からもやや離れた場所になるため、交通の利便性という意味では気軽に立ち寄りにくいものの、近くには哲学堂公園もあるので体力があれば一緒に回ってみるのも良いかもしれない。

入口から右手にある1階には特別展示室と映像紹介のコーナーがある。特別展示室では季節ごとにイベントをおこなったりすることもあり、今回は小学生向けに夏休みの自由研究コーナーとして中野区の史跡が紹介されている。映像は中野区で催されている祭礼や歴史を紹介している。

自由研究コーナー

階段を上った2階が常設展示室になっている。中央に円形の柱が立ち、その周囲をぐるりと囲む形で壁際に中野区の歴史が編年で紹介されている。その中央の柱では、徳川将軍が鷹狩りの際に休む処として地元の農民たちによって建てられた「宝仙寺三重塔」、生類憐れみの令の影響で野犬を保護した施設「御囲」、井上円了によって作られた「哲学堂公園」、伝統的な「江古田獅子舞」と「鷺宮囃子」というテーマについて紹介している。近年ではアニメの影響で鷺宮が注目されている様子。

中央の柱には中野区の名物がたくさん

展示室で特徴的なのはボタンを押すたびに大きな壁に映像が映し出されて放映されるという展示形態。常備されたモニターから映像がひたすら流される形式ではないので、博物館によくある「無人の展示室で映像がひたすら流れる」という現象を回避できている上にスタイリッシュに見えるのが効果的といえるかもしれない。もちろん土器と板碑は健在。石棒はなかった。

土器も板碑も瓦もあるのに石棒はない

その他には近代になって中野エリアの水源供給を担った野方配水塔の模型や、大杉栄、小林多喜二、中野重治ほか多くの人物が収監されたことで知られる豊多摩監獄・刑務所の紹介や、現代になってライブハウスの聖地の一つとなった中野サンプラザについても紹介されている。展示室内には古民家も原寸大で展示されている。

野方配水塔 実際に近くで見るとでかい

常設展示室の斜め向かいにある企画展示室では区内在住の大河原家から寄贈された加賀藩に仕えた武家としての大河原家の古文書群を展示。加賀藩主であった前田家の歴代当主からの書状や伝来している屏風など、武家に保存されていた資料がまとまって公開されているという貴重な展示になっている。

企画展示室では武家の古文書

トイレはウォシュレット式。なお、この中野区立歴史民俗資料館は「山崎記念」と冠している。これは中野区議会議長で名誉都民でだった山崎喜作から土地を寄贈されたことによるもので、敷地内には山﨑家の茶室と庭園もあり、春と秋の期間によっては内部が公開されている。

古民家っぽい造りの場所もある

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