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送水口博物館(東京都港区・新橋駅)

おそらく世界で唯一の博物館である。送水口。ビルの壁などに備えられているアレである。何に使っているのか見たことがない。水を送るための管であることはわかる。使用されているのを見たことはないものの消防で消火用の水を送るのに使用するものだと推測される。それはともかくとして、送水口にいくつも種類があるとは知らなかった。数ある送水口メーカーの一つである株式会社村上製作所が作ったのがこの博物館で、会社の入っているビルの屋上階にある。

スリッパを履いて入る室内にはさまざまな種類の送水口が所狭しと並んでいる。正面には巨大なモニターで、普通にテレビ放映がされていて休憩所のような雰囲気も肩肘張ってなくて好み。

流し台があるのもユーザーライク

かなりニッチな部類に入るだろうこのコレクション、もともとは社長と送水口愛好家との交流から始まったもので、世の中に送水口を好きな人がいることを知って社長が収集し始めたという経緯がある。送水口の魅力、楽しみ方といったパネル展示がされており、初心者にも優しい展示内容になっている上、展示物もビルに設置されていた状況をなるべく再現するように高さや設置物の材質などにもこだわっているというのが興味深い。

送水口の現品が揃っているのはここだけ!

送水口とは、消火栓や消火用水の採水口のような「出口」ではなく、ビルの各階にある放水口へ水を送るための「入口」として使われている。高層階など消防車の放水が届かないような箇所を、屋内の消化設備から消火するための水を送りつづけるためにある口というわけ。なので、建物の規模によって設置する条件が決まっており、わかりやすいところでは地上7階以上の建物には送水口が存在する。他にも細かいものが決められているので興味があれば現地へ赴くのが望ましい。

色とりどりの送水口を触れるのはここだけ!

収集品は主にビルの解体時に送水口を引き取ったものらしく、かつて存在したビルの遺構となった送水口が多い。その中には個人的に地元のビルの送水口が展示されていたりして、なんとも懐かしい気持ちになる。実際に送水口に触れて脱着を体験することもできる。
意外と言っては失礼かもしれないけれど来訪者が多いようで、数多くの色紙が飾られていて送水口がいかに色々な人に愛されているのかというのがわかる。今まで知らなかったことを反省する。室内にあるトイレは男性用の小用のみ。1階下に個室がある。ウォシュレット式。

屋上にならぶ送水口コレクションはここだけ!

普段あまり気にかけることのなかった送水口だけれど、ここを訪れたのをきっかけにして、街中で見かける送水口を気にかけてみようと思った。

階段途中にある案内板も良い 歩鉄って何だろう?


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