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世田谷区立郷土資料館(東京都世田谷区・上町駅)

東京23区の郷土博物館の中で最後に残っていたのが世田谷区立郷土資料館。このミュージアム巡りを始めた頃にちょうど改修工事に入りしばらく休館中となっていたため訪れるタイミングを逃していたのだけれど、改修工事も終わってようやく訪問。これで23区の郷土博物館は全て制覇したことになる。達成感たるや半端ない。

世田谷区立郷土資料館の敷地には江戸時代からの代官屋敷があり公開されている。この地域を治めていた代官である大場氏の使っていた屋敷をそのまま残したもので、郷土資料館の敷地自体がこの大場氏の敷地でもある。2階建てとなっている屋敷は白州など代官屋敷ならではのものもある。時期によってはスタッフの方による解説もあるという。主屋と表門は国の重要文化財に指定されている。

郷土資料館に隣接する代官屋敷

郷土資料館の方も2階建ての造りで、本館と新館とがあり渡り廊下でつながっている。本館に入って受付カウンター横から展示室になっており、この地で発掘された土器が展示されている。階段を上った2階がメインとなる常設展示室になっており、回廊型の展示室に古代から近現代までが紹介される。縄文、弥生、古墳時代それぞれの土器が紹介されているのはおなじみ。ただしこちらには三種の神器の一つとも言える石棒が展示されておらず、その点は非常に残念。世田谷区は広大なのと崖線沿いにある場所が多いことから多くの遺跡が見つかっている。

常設展示室がリニューアルオープン

続いての中世からが特にメインどころと言えるかもしれない。もともと豪族である吉良氏が支配していた土地である世田谷。その吉良氏の家臣だった大場氏は、徳川家康が江戸に入府し関東を治めるようになると、その譜代である井伊家に使えるようになり、そのまま世田谷の地を代官として治めるようになったという経緯がある。そのため井伊家ゆかりの展示が多く、また世田谷区の豪徳寺は井伊家の菩提寺としても知られている。なお近隣で開かれることで有名なボロ市は、徳川家康が入府する前に関東の支配者であった北条氏政の命によって始まったという歴史あるもの。

戦国時代から始まっていたボロ市

近現代には三軒茶屋について。イメージ通り田中屋・角屋・信楽という三軒の茶屋が並んでいたことに由来する。このうち「信楽」は「石橋楼」と名を変え旅館を兼ねた経営となり、明治天皇も休憩に入った場所だという。電車路線では玉川電気鉄道の砧線が今はない鉄道路線の象徴として記録されている。

三軒の茶屋が由来の三軒茶屋

本館で行われているのは常設展で、渡り廊下を淘汰先にある真剣では企画展が開催されている。新館と言っても展示室は一室のみで、半分は常設展の続きであるスペースで企画展としては残り半分で、重要文化財保存処理が完了したという野毛大塚古墳の展示を開催。2階と1階のロビーではそれぞれこの企画展に関する映像が放映されている。トイレは本館・新館ともに洋式。

新舘の展示室は割とコンパクト


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