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昭和館(東京都千代田区・九段下駅)

九段下駅からすぐの場所にある昭和館。以前に常設展の方は訪れたことがあったものの今回は企画展に興味があり再訪。昭和の歴史を辿るという展示内容となっている。戦時中の手紙など戦争に関連する展示がかなり充実しており、近くにあるしょうけい館と合わせて見学することで戦争の実態というのが見えてくるかもしれない。

常設展は6階と7階。7階を見終えてから階段で6階へ降りるという形になっている。7階は戦中の戦地と統制下の暮らしについてが中心で、当時の実物資料が大量に展示されている。6階へ降りる階段の踊り場で玉音放送が聴ける。これを折り返し地点として6階では終戦直後の日本から、復興に向けての国民の暮らしを中心とした展示をおこなっている。

戦争直後の焼け野原をイメージさせる絵

5階は映像・音響資料室で写真資料や当時の映像、レコード音源などが自由に聴ける。
4階は図書室。貸し出しは行っておらず、この室内で戦中・戦後に関する膨大な資料を読むことができる。

企画展が行われているのは3階。今回は挿絵画家の椛島勝一と小松崎茂の作品についてを展示している。
まずはペン画の神様と呼ばれた椛島勝一。雑誌「少年倶楽部」で繊細で写実的な挿絵を描いており、中には実物写真かと見間違えるほどの描写がある。日本におけるリーニュクレール画法の第一人者としても知られている。
続いて小松崎茂。椛島の作品に憧れて挿絵画家となり、後に空想科学挿絵画家として大成している。秀逸なのは少年向けの「冒険活劇文庫」における絵物語で、メカニックの細かさ、冒険のワクワク感をふんだんに盛り込んだ作風は、いま見ても胸が躍ること間違いない。彼の存在を決定づけたのはタミヤ模型のプラモデルの箱絵だろうか。戦艦、戦車、戦闘機、これらのプラモデル箱に描かれたイメージ画は想像を掻き立てるという意味で随一。

上が椛島勝一 きれいな写真みたいだろ 絵なんだぜこれ
下が小松崎茂 不思議な未来みたいだろ 絵なんだぜこれ

2階でも企画展が行われているが、こちらは館内ではなく屋外展示。外側にある階段を上がって見学する形になっている。今回は昭和の九段下界隈を切り取った写真集。今はない建物なども収められていてノスタルジックな気持ちになること請け合い。

屋外なのもあって人がいない

入口である1階の隅にはニュースシアターがある。戦中・戦後の国民生活を記録したニュース映画を上映している。いずれも階もほとんど見学者がおらず閑散としている。膨大な資料があるだけにもったいない気もする。トイレはウォシュレット式。

2階の展示スペースへは外階段で 館内への行き来はできない


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