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書道博物館(東京都台東区・鶯谷駅)

書道博物館は鶯谷駅から歩いてすぐ、もともと書家・洋画家である中村不折の邸宅があった本館と、新たに建設されている中村不折記念館という建物で構成されている。入口および見学順路は中村不折記念館の方からとなる。

記念館の方は2階建てになっている。今回は趙孟頫という南宋〜元の時代に活躍した中国の書家にスポットを当てた展示になっている。一つ一つの展示に趙孟頫が「これはこういう字体で〜」といった解説パネルを置いてくれているので、全く書道に心得がない人間でも割とわかりやすい。

2階には展示室の他に特別展示室と中村不折記念室があり、館内収蔵品を入れ替えながら常設展示として紹介している。しれっと国宝とか重要美術品とか紛れ込んでいたりするので気が抜けない。トイレは2階は洋式で1階はウォシュレット式。

記念館を出て本館へ向かう途中は中庭になっている。白い石が敷き詰められており、まるで雪景色のように美しく見惚れてしまう。園内には明治時代と大正時代の蔵がある。本館は昭和時代、記念館は平成時代と、4つの時代が一堂に介しているわけだ。

敷き詰められた石が雪のようですね

本館の第一展示室は仏像を中心にしている。仏像のどこを見れば良いのか、どこに文字が刻まれているのかなど、知らなかったことが丁寧に解説されていて勉強になる。面白いのが「三体石経」といって、一つの字に対して古文・篆書・隷書という違う書体でそれぞれ刻まれているもの。つまり二つ飛びで文書を読む必要があるので割と面倒。

第三展示室(第二展示室は無い模様)では古代中国の遺跡から出てきた仏塔、瓦、墓誌などから古代に使われていた字を紹介している。階段を上がって第四展示室では漢字の始まりとして甲骨文(動物の骨に刻まれた占いの記録)や青銅器が紹介されている。最後の第五展示室では古代の文房具や仏具などが紹介されている。中村不折自身のコレクションの趣が強い。

館内で唯一ここだけ撮影できる

館内は一部を除いて撮影はできない。色々な箇所に撮影不可である旨のパネルが設置されているのだけれど、中村不折の字体でもって「さわってもご利益はありません」「インスタ映えは期待できません」といったユーモアたっぷりの表現になっていて、それだけでも収めておきたいもの。

こんなパネルがたくさんあってユーモア

ちなみに鶯谷といえば大人の社交場として知られる界隈である。駅前から既に多くの休憩所が立ち並び、ちょっと一休みしたい、なんていう人たちが多く行き交っている。書道博物館はそんな休憩所エリアのど真ん中にある。なかなかチャレンジブルな施設である。博物館の向かいには正岡子規の草庵もある。

子規庵は閉館中


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